2006年07月13日
Scene 124 [夏の終わり]
[Another Side of Tennis]
坂東海
Scene 124
[夏の終わり]
「うわっ!焼けてるねえ」
会う人会う人に言われる。
毎週毎週レッスンで会うお客さんにも、「本当に黒いねえ…」
「いやっ!本当は白いんですよ!美白なんです!」
時計を外して見せると、「本当だあ~。白い」
「子供の頃はコパトーンのモデルでお尻出してましたからね!」
こんな感じだ。
毎年紫外線が強くなって来る春先は、誰よりも早く短パンになる。
皆が黒くなってから、陽に焼けてない足を出すのはカッコ悪い。
って言うか、テニス選手は試合中とか暖まったら、短パンになるのが普通だ。
真冬の部活じゃあ、身体から湯気を立てながら短パンでプレーしたもんだ。
だから春先で暖かくなって来た時、逆に秋口で少し冷え込んで来た時に、ウォームアップパンツを穿いてレッスンしているコーチを見るとがっかりする。
「オマエハタマダシマシーンカ?」
で、その日焼けが仇になるのが、皮肉な事に真夏の海。
顔と二の腕の途中から指先迄、膝上から踝迄は真っ黒で、他は真っ白の逆パンダ…。
これはカッコ悪い。
おまけに最近はスリークォーターパンツを穿く事が多いから、逆パンダ現象は更に酷くなっている。
そんな事を気にし始めた6月終わりに、ヘッドコーチからこんな一言。
「秋になると休めないから、夏の間に休み取れば?ウチは又宮古島行くよ。お前も宮古行ったら?7月の頭で独りなら今からでもエ大丈夫じゃない?いい所教えてやるぜ」
勿論即答で「焼きます!焼きます!じゃなくて、行きます!行きます!」
そんな訳で、目指せ逆パンダ解消で慌しく初の宮古へ。
空港へ着いてまずは、ヘッドコーチに教えてもらった個人レンタカー屋さんにコール。
古いスプリンターを借りて、これ又教えてもらったチャーハンが税込300円で大盛りの[博龍菜館]に行って昼飯と、貧乏旅には無難なスタート。
満腹になった所で新城海岸に行って、男独りで隠れクマノミとご対面。
海に潜ってこの目で直に見ると、予想外に感動…ふん!恥ずかしくなんかないやい!
スコールに追われる様に、素泊まりの宿にチェックインして、缶ビールを開けてTVをつけたら「台風3号は明日宮古島に最接近。明後日迄停滞」……知らなかったあ…。
翌日は開き直って颱風が来る前の島をドライブしたけど、途中でワイパーも利かない降りになり、土産にモンテドールの新作ケーキ[ゴーヤ畑]を買っただけで帰宿。
でも颱風は1日で通り過ぎて、又しても新城海岸、そして夜は平良の居酒屋[中山海岸通店]に行って、颱風の影響で刺身は限られていたけど独りカウンターでエンジョイ。
そんなこんなでピーカンの最終日は、レンタカー屋のおじさんが教えてくれた[悠楽]の一口カツ定食で感動してから、ミーハーに砂山海岸へ。
独りでもおかしくない程度のひと気で、颱風の影響でろくに陽射しを浴びてない、まだ逆パンダ状態の身体を安心してさらして焼いた。
でも普段から焼けてない部分は、やっぱり赤くなるだけなんだよなあ…痛い…。
ヒリヒリするのを我慢しながら飛行機に乗り込んで、羽田からいつもの店に直行。
(そう言えば羽田への飛行機では、斜め後ろの席に山崎まさよし。後で調べたら、彼は七夕の夜の川満漁港でのイベントに、シークレットゲストで出たらしい)
「やっぱ空いてる海はいいねえ」
「でもさあ、もう夏休みが終っちゃったって事でしょ?」
「なんでそうやって現実を突き付けるの…」
“訳もなく夏の終わりが寂しいのは子供だけじゃないんだぜ”夏の終わり/SION
2006.7.10
Hirara
坂東海
Scene 124
[夏の終わり]
「うわっ!焼けてるねえ」
会う人会う人に言われる。
毎週毎週レッスンで会うお客さんにも、「本当に黒いねえ…」
「いやっ!本当は白いんですよ!美白なんです!」
時計を外して見せると、「本当だあ~。白い」
「子供の頃はコパトーンのモデルでお尻出してましたからね!」
こんな感じだ。
毎年紫外線が強くなって来る春先は、誰よりも早く短パンになる。
皆が黒くなってから、陽に焼けてない足を出すのはカッコ悪い。
って言うか、テニス選手は試合中とか暖まったら、短パンになるのが普通だ。
真冬の部活じゃあ、身体から湯気を立てながら短パンでプレーしたもんだ。
だから春先で暖かくなって来た時、逆に秋口で少し冷え込んで来た時に、ウォームアップパンツを穿いてレッスンしているコーチを見るとがっかりする。
「オマエハタマダシマシーンカ?」
で、その日焼けが仇になるのが、皮肉な事に真夏の海。
顔と二の腕の途中から指先迄、膝上から踝迄は真っ黒で、他は真っ白の逆パンダ…。
これはカッコ悪い。
おまけに最近はスリークォーターパンツを穿く事が多いから、逆パンダ現象は更に酷くなっている。
そんな事を気にし始めた6月終わりに、ヘッドコーチからこんな一言。
「秋になると休めないから、夏の間に休み取れば?ウチは又宮古島行くよ。お前も宮古行ったら?7月の頭で独りなら今からでもエ大丈夫じゃない?いい所教えてやるぜ」
勿論即答で「焼きます!焼きます!じゃなくて、行きます!行きます!」
そんな訳で、目指せ逆パンダ解消で慌しく初の宮古へ。
空港へ着いてまずは、ヘッドコーチに教えてもらった個人レンタカー屋さんにコール。
古いスプリンターを借りて、これ又教えてもらったチャーハンが税込300円で大盛りの[博龍菜館]に行って昼飯と、貧乏旅には無難なスタート。
満腹になった所で新城海岸に行って、男独りで隠れクマノミとご対面。
海に潜ってこの目で直に見ると、予想外に感動…ふん!恥ずかしくなんかないやい!
スコールに追われる様に、素泊まりの宿にチェックインして、缶ビールを開けてTVをつけたら「台風3号は明日宮古島に最接近。明後日迄停滞」……知らなかったあ…。
翌日は開き直って颱風が来る前の島をドライブしたけど、途中でワイパーも利かない降りになり、土産にモンテドールの新作ケーキ[ゴーヤ畑]を買っただけで帰宿。
でも颱風は1日で通り過ぎて、又しても新城海岸、そして夜は平良の居酒屋[中山海岸通店]に行って、颱風の影響で刺身は限られていたけど独りカウンターでエンジョイ。
そんなこんなでピーカンの最終日は、レンタカー屋のおじさんが教えてくれた[悠楽]の一口カツ定食で感動してから、ミーハーに砂山海岸へ。
独りでもおかしくない程度のひと気で、颱風の影響でろくに陽射しを浴びてない、まだ逆パンダ状態の身体を安心してさらして焼いた。
でも普段から焼けてない部分は、やっぱり赤くなるだけなんだよなあ…痛い…。
ヒリヒリするのを我慢しながら飛行機に乗り込んで、羽田からいつもの店に直行。
(そう言えば羽田への飛行機では、斜め後ろの席に山崎まさよし。後で調べたら、彼は七夕の夜の川満漁港でのイベントに、シークレットゲストで出たらしい)
「やっぱ空いてる海はいいねえ」
「でもさあ、もう夏休みが終っちゃったって事でしょ?」
「なんでそうやって現実を突き付けるの…」
“訳もなく夏の終わりが寂しいのは子供だけじゃないんだぜ”夏の終わり/SION
2006.7.10
Hirara
2005年11月03日
Scene 88 [20th Anniversary]
[Another Side of Tennis]
坂東海
Scene 88
[20th Anniversary]
「この人にも30代だった時がありました!ギター、松田文!」
Sold Outの新宿ロフト。
シオンがデビュー前にロフトで初ワンマンして20周年に引っ掛けてのLive。
ロフトも丁度30周年らしい。
“ふたりでいてもふたりはふたりで 想い合って癒せない思いは 小さいときにたぶん身につけた それぞれのやり方で”夏の終わり/SION
“裏を読むなよ みんな自分が可愛い 真っ直ぐでいい このままでいい” すばらしい世界を/SION
そんな“言葉”がスッと胸を刺す。
(小さいときにたぶん身につけた それぞれのやり方で…かあ。裏を読むなよ…)
皆で香港料理屋に入って、飛び切り辛いイカの炒め物を突っ突きながら思い出す。
約1週間後だったか、浅草橋で野暮用があり新宿から総武線に乗る。
問屋街でも覗こうと早く出て、電車の中でウトウト。
ふと気が付くと窓の外はデカイ川…隅田川!
一つ乗り過ごしちまったって訳だ。
(まあいいや)と両国散策に切り替える。
国技館を見て、(そうか…)とiPodをスクロール。
2曲目が終り、激しい歓声の中MC。
「ありがとう。今夜も最後まで目一杯やります。最後まで楽しんで行ってほしい。ラヴ・マイナス・ゼロというアルバムの、多分これが最初でそして最後になるプロモーションツアーのファイナルです。ねえっ。ここが新国技館だからね、有名な。やるよ!ウェイ」
両国国技館こけら落としの1985年の甲斐バンドのLive。
こけら落としらしく、甲斐よしひろは“両国国技館”ではなく“新国技館”と言ってる。
歴代横綱の写真が見下ろす座布団の無い桝席に立って観たLiveだ。
あのLiveの後、呑み屋を探してうろついた両国の街は明かりが消えて暗い印象だったが、今じゃネオンがこうこうと光ってる。
国技館、旧安田庭園、両国公会堂と通り過ぎ、蔵前橋を中程迄渡って立ち止まる。
“よりよい世界夢見ながら眠りにつく時がある だけど沈んだままの心でいつも目をさます”荒野をくだって/Kai Band
あっ、このLiveも20年前じゃん。
短い間に20年というキーワードに2回触れて、川面を眺めながら20年って奴をちょっと振り返って見る。
でもそれは月日を感じさせず、歌い続けてる彼等同様、自分が今も生きているという事実を突きつけられる。
それが幸せであり痛くもあって、(俺は一体何をしてるんだ…)と思わず悪寒に身体を震わせてしまう。
1985年、全豪が最後のXmas開催だった年。
グランドスラムの優勝者は全仏:ビランデル、エバート、全英:ベッカー、ナブラチロワ、全米:レンドル、マンドリコワ、全豪:エドバーグ、ナブラチロワと正しく群雄割拠。
テニスに関しては年月の流れを感じる。
“色あせても笑う ヒーロー達の写真は 栄光と挫折を一度にさらしてしまう”
“俺は王様だと思ってた 俺の声で誰でも踊ると思ってた だがしかし俺の声は ピンボールさ ただ跳ねてるだけ”俺の声/SION
2005.10.25
Kuramaebashi
坂東海
Scene 88
[20th Anniversary]
「この人にも30代だった時がありました!ギター、松田文!」
Sold Outの新宿ロフト。
シオンがデビュー前にロフトで初ワンマンして20周年に引っ掛けてのLive。
ロフトも丁度30周年らしい。
“ふたりでいてもふたりはふたりで 想い合って癒せない思いは 小さいときにたぶん身につけた それぞれのやり方で”夏の終わり/SION
“裏を読むなよ みんな自分が可愛い 真っ直ぐでいい このままでいい” すばらしい世界を/SION
そんな“言葉”がスッと胸を刺す。
(小さいときにたぶん身につけた それぞれのやり方で…かあ。裏を読むなよ…)
皆で香港料理屋に入って、飛び切り辛いイカの炒め物を突っ突きながら思い出す。
約1週間後だったか、浅草橋で野暮用があり新宿から総武線に乗る。
問屋街でも覗こうと早く出て、電車の中でウトウト。
ふと気が付くと窓の外はデカイ川…隅田川!
一つ乗り過ごしちまったって訳だ。
(まあいいや)と両国散策に切り替える。
国技館を見て、(そうか…)とiPodをスクロール。
2曲目が終り、激しい歓声の中MC。
「ありがとう。今夜も最後まで目一杯やります。最後まで楽しんで行ってほしい。ラヴ・マイナス・ゼロというアルバムの、多分これが最初でそして最後になるプロモーションツアーのファイナルです。ねえっ。ここが新国技館だからね、有名な。やるよ!ウェイ」
両国国技館こけら落としの1985年の甲斐バンドのLive。
こけら落としらしく、甲斐よしひろは“両国国技館”ではなく“新国技館”と言ってる。
歴代横綱の写真が見下ろす座布団の無い桝席に立って観たLiveだ。
あのLiveの後、呑み屋を探してうろついた両国の街は明かりが消えて暗い印象だったが、今じゃネオンがこうこうと光ってる。
国技館、旧安田庭園、両国公会堂と通り過ぎ、蔵前橋を中程迄渡って立ち止まる。
“よりよい世界夢見ながら眠りにつく時がある だけど沈んだままの心でいつも目をさます”荒野をくだって/Kai Band
あっ、このLiveも20年前じゃん。
短い間に20年というキーワードに2回触れて、川面を眺めながら20年って奴をちょっと振り返って見る。
でもそれは月日を感じさせず、歌い続けてる彼等同様、自分が今も生きているという事実を突きつけられる。
それが幸せであり痛くもあって、(俺は一体何をしてるんだ…)と思わず悪寒に身体を震わせてしまう。
1985年、全豪が最後のXmas開催だった年。
グランドスラムの優勝者は全仏:ビランデル、エバート、全英:ベッカー、ナブラチロワ、全米:レンドル、マンドリコワ、全豪:エドバーグ、ナブラチロワと正しく群雄割拠。
テニスに関しては年月の流れを感じる。
“色あせても笑う ヒーロー達の写真は 栄光と挫折を一度にさらしてしまう”
“俺は王様だと思ってた 俺の声で誰でも踊ると思ってた だがしかし俺の声は ピンボールさ ただ跳ねてるだけ”俺の声/SION
2005.10.25
Kuramaebashi
2005年06月30日
Scene 70 [自業自得]
[Another Side of Tennis]
坂東 海
Scene 70
[自業自得]
<TOPページにQRコードつけました!>
QRコードなんてどうでもいいけど、どれどれとアクセスしてみる。
俺の二つ上の先輩が社長のテニススクールのホームページ。
しかしQRコードってLookin’Badだな。
<QRコードつけました!>とメールして来たのはその先輩でなく、逆に二つ下の後輩。
奴はIT関係のデカイ会社で働いているんだが、日曜はガキを連れて高円寺からはるばる埼玉の先輩のテニススクールに通ってる。
そこで一生変らない上下関係に負けて、「ちょっとHP見てアドバイスちょうだいよ」から始まって今じゃ「HP更新しとけよ!」といい様に使われてるらしい。
日曜の昼、缶ビール片手に街をふらついてる時だったので、メール返すのが億劫で直接Call。
「QRコード見てくれました!」
後ろで子供の声とボールの音が聞こえる。
“大変だなHP、仕事でもないのにさ”と言うと「たまんないっすよ!さっきも“クラブハウスでウィンブルドンの中継流したいから、DVDで録って持って来て”ですよ!自分の仕事だって終ってないのに!」と言いながら笑ってる。
「休みの日はいつもテニスだから、気を利かせてウチのに“帰り何か買って帰る?”って聞いたら、“クリーニング屋に寄って預けてあるの取って来て”だし…」
“全く会社も家族も仕事は寄越すけど金は寄越しやしねえな”、「いや先輩の場合は、“何もしないくせに金ばっか使いやがって”とどっちにも思われてるんじゃないですか?!」、“それうまいね…至らぬ世話だ!”と大笑いして電話を切る。
金にならないことって妙に惹かれて凝っちゃうもんなんだよな。
それが自分の好きな事で、おまけに誰かが喜んでくれるとなると更に深入りしちゃうし。
あいつはいつの間にかOB会の仕切りも任されちゃってるもんな。
俺等なんかあいつがいなけりゃ皆で集まれやしないのに、皆あいつに我侭ばかり言ってる。
それでもちゃんと朝まで付き合ってくれるし…感謝。
それにしても金をもらう仕事ってのはどうしてこう………。
やめとこう、愚痴っちゃいかん。
そう自業自得。
“せこいオフィスで 社長は今日もいばり散らし ことあるごとに俺をけなしやがる 「えらそうに ハゲジジイ」つぶやいたつもりが 「もう一回言ってみろ やる気がないならやめろ」 ちくしょう イライラするぜ ちくしょう むしゃくしゃするぜ”ふんだりけったり(自業自得)/SION
あいつもたまにはこんな気分になってるのかね。
でもあいつ今の家確か新築で買ってるんだよなあ。
金貰ってるんだろうなあ。
あいつなら誰にでも好かれるし信頼されるし、俺とは大違いだからなあ。
うん、正しく自業自得だ。
2005.6.26
Kashiwacho
坂東 海
Scene 70
[自業自得]
<TOPページにQRコードつけました!>
QRコードなんてどうでもいいけど、どれどれとアクセスしてみる。
俺の二つ上の先輩が社長のテニススクールのホームページ。
しかしQRコードってLookin’Badだな。
<QRコードつけました!>とメールして来たのはその先輩でなく、逆に二つ下の後輩。
奴はIT関係のデカイ会社で働いているんだが、日曜はガキを連れて高円寺からはるばる埼玉の先輩のテニススクールに通ってる。
そこで一生変らない上下関係に負けて、「ちょっとHP見てアドバイスちょうだいよ」から始まって今じゃ「HP更新しとけよ!」といい様に使われてるらしい。
日曜の昼、缶ビール片手に街をふらついてる時だったので、メール返すのが億劫で直接Call。
「QRコード見てくれました!」
後ろで子供の声とボールの音が聞こえる。
“大変だなHP、仕事でもないのにさ”と言うと「たまんないっすよ!さっきも“クラブハウスでウィンブルドンの中継流したいから、DVDで録って持って来て”ですよ!自分の仕事だって終ってないのに!」と言いながら笑ってる。
「休みの日はいつもテニスだから、気を利かせてウチのに“帰り何か買って帰る?”って聞いたら、“クリーニング屋に寄って預けてあるの取って来て”だし…」
“全く会社も家族も仕事は寄越すけど金は寄越しやしねえな”、「いや先輩の場合は、“何もしないくせに金ばっか使いやがって”とどっちにも思われてるんじゃないですか?!」、“それうまいね…至らぬ世話だ!”と大笑いして電話を切る。
金にならないことって妙に惹かれて凝っちゃうもんなんだよな。
それが自分の好きな事で、おまけに誰かが喜んでくれるとなると更に深入りしちゃうし。
あいつはいつの間にかOB会の仕切りも任されちゃってるもんな。
俺等なんかあいつがいなけりゃ皆で集まれやしないのに、皆あいつに我侭ばかり言ってる。
それでもちゃんと朝まで付き合ってくれるし…感謝。
それにしても金をもらう仕事ってのはどうしてこう………。
やめとこう、愚痴っちゃいかん。
そう自業自得。
“せこいオフィスで 社長は今日もいばり散らし ことあるごとに俺をけなしやがる 「えらそうに ハゲジジイ」つぶやいたつもりが 「もう一回言ってみろ やる気がないならやめろ」 ちくしょう イライラするぜ ちくしょう むしゃくしゃするぜ”ふんだりけったり(自業自得)/SION
あいつもたまにはこんな気分になってるのかね。
でもあいつ今の家確か新築で買ってるんだよなあ。
金貰ってるんだろうなあ。
あいつなら誰にでも好かれるし信頼されるし、俺とは大違いだからなあ。
うん、正しく自業自得だ。
2005.6.26
Kashiwacho
2005年06月16日
Scene 68 [虹]
[Another Side of Tennis]
坂東 海
Scene 68
[虹]
目の前の女の子が友人をトントンと叩いて左側の空を指差してる。
その指先を見て俺も隣にいる彼女をトントンと叩いて空を指差す。
それは瞬く間にさざ波の様に広がって行った。
ステージ上の“唄うたい”もそれに気付き、右側の空を見上げる。
“SORRY BABY 誰かさんみたいに 俺に明日見えないからSORRY BABY約束なんてできたもんじゃないんだ こんな俺をうらむかね”SORRY BABY/SION
2番のサビを唄い終わった彼は左手で空を指差して、会場の皆に“虹”が出ている事を知らせた。
梅雨空を心配して野音に集まって来ていた皆から、さっきまでの重たい天気とミスマッチの虹がオープニングの曲と同時に出た驚きと、それを皆で喜び合う一体感を表すどよめきがあがる。
そしてその曲が終ってのMC。
「いやーっ、これ(虹)を出すのに時間かかっちゃって」と開演が押した事をさり気なくフォロー。
洒落てるよな、SION。
(開演が押したのは翌日ダチから聞いたんだが、リハ後にギターアンプが爆発!? (真空管?)したらしい)
次の2曲目の途中で虹は消えて、明るい感じの曲が続いた後の11曲目。
へヴィーなギターが響く。
“ガード下では目の見えない男がハモニカ吹いてる 盲目の人生ですがなぜかまだ生きていたいと 書かれた段ボールの横で 電車と車と足音にけとばされて あんたに恵みはない だけどあんた吹くのを止めない まるで息をするためにそうしているかのように きれいなビルの建ち並ぶ足元で すえたゆばりと消毒液が煮立ってる”ガード下/SION
何度もLiveで聴いてた曲が物凄いデカイ塊になって向って来る。
彼女は「鳥肌が立った」と俺に呟く。
俺は缶ビールを片手にうなずきながら、親に手を引かれていた頃から酒を呑み出して街を徘徊し出した頃迄だろうか、新宿の東口から西口のガード下にいつもいた戦争で体の部分々々を失ってた元日本兵を思い出してた。
繰り返される事で上がって行くグルーヴ、それはバンドが遠くまで到達した証。
そのグルーヴに終りはなく、どこまでも登り詰めて行く。
約1週間前のナダルとプエルタのフレンチ決勝は、グラウンドストローカー達が新たなステージに上がった事を強烈に現していた。
ベースラインからの壮絶な打ち合いながら、殆どのボールがサイドラインを抜けて行くラリー。
偉大なグランドストローカー達が積み上げて来たレベルの更にその上で彼等はプレーしていた。
そう、決していきなり彼等がそういうプレーを始めたのではなく、“あいつに勝ちたい”とプレイヤーがスピード、スピン、フットワークとグレードアップして来た繰り返しの結果=伝承と新興って奴だ。
“やる”だけでなく”やり続ける”こと、”壊す”だけでなく“生み出す”こと。
それが大事なのは、何かにちょっと真面目に打ち込めば気付く事だ。
ナダルが見せた“シコリ”は19才の若者のGUTS、プエルタの激しいプレーと裏腹の諦観したかの様な表情は、ドーピングでの9ヶ月出場停止を乗り越えて来た26才のタフさを感じさせた。
やり遂げる為のエナジーが今必要だ。
今俺等は、“ガード下”で陽気に騒いでる。
来年の6月もかましてくれよ!SION!Nadal!
2005.6.11
Hibiya
坂東 海
Scene 68
[虹]
目の前の女の子が友人をトントンと叩いて左側の空を指差してる。
その指先を見て俺も隣にいる彼女をトントンと叩いて空を指差す。
それは瞬く間にさざ波の様に広がって行った。
ステージ上の“唄うたい”もそれに気付き、右側の空を見上げる。
“SORRY BABY 誰かさんみたいに 俺に明日見えないからSORRY BABY約束なんてできたもんじゃないんだ こんな俺をうらむかね”SORRY BABY/SION
2番のサビを唄い終わった彼は左手で空を指差して、会場の皆に“虹”が出ている事を知らせた。
梅雨空を心配して野音に集まって来ていた皆から、さっきまでの重たい天気とミスマッチの虹がオープニングの曲と同時に出た驚きと、それを皆で喜び合う一体感を表すどよめきがあがる。
そしてその曲が終ってのMC。
「いやーっ、これ(虹)を出すのに時間かかっちゃって」と開演が押した事をさり気なくフォロー。
洒落てるよな、SION。
(開演が押したのは翌日ダチから聞いたんだが、リハ後にギターアンプが爆発!? (真空管?)したらしい)
次の2曲目の途中で虹は消えて、明るい感じの曲が続いた後の11曲目。
へヴィーなギターが響く。
“ガード下では目の見えない男がハモニカ吹いてる 盲目の人生ですがなぜかまだ生きていたいと 書かれた段ボールの横で 電車と車と足音にけとばされて あんたに恵みはない だけどあんた吹くのを止めない まるで息をするためにそうしているかのように きれいなビルの建ち並ぶ足元で すえたゆばりと消毒液が煮立ってる”ガード下/SION
何度もLiveで聴いてた曲が物凄いデカイ塊になって向って来る。
彼女は「鳥肌が立った」と俺に呟く。
俺は缶ビールを片手にうなずきながら、親に手を引かれていた頃から酒を呑み出して街を徘徊し出した頃迄だろうか、新宿の東口から西口のガード下にいつもいた戦争で体の部分々々を失ってた元日本兵を思い出してた。
繰り返される事で上がって行くグルーヴ、それはバンドが遠くまで到達した証。
そのグルーヴに終りはなく、どこまでも登り詰めて行く。
約1週間前のナダルとプエルタのフレンチ決勝は、グラウンドストローカー達が新たなステージに上がった事を強烈に現していた。
ベースラインからの壮絶な打ち合いながら、殆どのボールがサイドラインを抜けて行くラリー。
偉大なグランドストローカー達が積み上げて来たレベルの更にその上で彼等はプレーしていた。
そう、決していきなり彼等がそういうプレーを始めたのではなく、“あいつに勝ちたい”とプレイヤーがスピード、スピン、フットワークとグレードアップして来た繰り返しの結果=伝承と新興って奴だ。
“やる”だけでなく”やり続ける”こと、”壊す”だけでなく“生み出す”こと。
それが大事なのは、何かにちょっと真面目に打ち込めば気付く事だ。
ナダルが見せた“シコリ”は19才の若者のGUTS、プエルタの激しいプレーと裏腹の諦観したかの様な表情は、ドーピングでの9ヶ月出場停止を乗り越えて来た26才のタフさを感じさせた。
やり遂げる為のエナジーが今必要だ。
今俺等は、“ガード下”で陽気に騒いでる。
来年の6月もかましてくれよ!SION!Nadal!
2005.6.11
Hibiya
2005年06月09日
Scene 67 [たまには自分を褒めてやろう]
[Another Side of Tennis]
坂東 海
Scene 67
[たまには自分を褒めてやろう]
(ちゃんと録画予約したっけ…)
Barのカウンターで呑みながらちょっと心配になる。
とは言え今更どうしようもない。
23:38、携帯が震えメール着信。
<三崎名物『まぐろかつ』で一杯の最中。店のTVでSION×福山雅治のトーク番組やってるよ>
正しく俺が録画出来てるか心配してる番組を奴は今遠く??横須賀で観てる様だ。
SIONと福山雅治のトークシーンは今俺が呑んでる店の1本向こうの通りで朝方に撮ったらしい。
いつもの様に明け方迄呑んで店出た所に、SIONと福山雅治が路地裏で喋ってたら驚くよなあ。
「やっぱ家帰ってちゃんと観れば良かったなあ…」と呟いたら隣の客が「サッカー?」と返して来る。
今夜はW杯最終予選[日本vsバーレーン]。
店の中が「サッカー?」という問いに応えて盛り上がり出す。
「それならフェデラーvsナダルだよ」と言おうとして、サッカーどころかフェデラーvsナダルも録画予約していない事に気付く。
慌てて「締めて!」と言うと、マスターは「サッカーならラジオで聞けるよ」
「うん、又ね!」と答えになってない返事をして、靖国通りでなく職安通りに向ってタクシーを拾う。
職安通りからだと流しのタクシーを拾いやすく、おまけに中野坂上迄マニアックな抜け道で行けるのがいい。
期待通り25時過ぎに家に着き、酔っ払った頭で思案。
フェデラーvsナダルも観たいが、サッカーも確かに観たい→どっちかを録画だ→どっちだ………。
やっぱ観たいフェデラーvsナダルをLiveで観てサッカーは録画と決め、TVに近付くと某BSで録った観てない映画のテープの山。
そうなんだよな、Liveで観ないと結局観ないんだよな。
うん?その某BSを解約してなければフェデラーvsナダルは20時頃から観れてて…いやっそうするとSIONとかぶって…。
あーっ、もういいや!フェデラーvsナダル予約!とセッティング。
チャンネルをサッカーに合わせてアップしている中田の姿に目を奪われて………。
そして今29時、正しく言えば6/4(土)朝5時。
俺はサッカーの結果もフェデラーvsナダルの結果も知らない。
そう、寝ちまったんだ…。
仕方ないからビールの栓を抜いてまずSIONを観る。
おおっ、本当だ、陽の射すゴールデン街でSIONと福山雅治が話してる。
新宿区役所の方から入って来て花園一番街の角だな。
そして場面が変って、近々発売の2人の名義でのシングル「たまには自分を褒めてやろう」を唄い出す。
“お前もよくやってると たまにゃ自分をちゃんと褒めてやろう くさらず頑張ってると たまにゃ自分をちゃんと褒めてやろう”たまには自分を褒めてやろう/SIONと福山雅治
CMになったが飛ばすのがかったるく、その間横須賀からのあいつのメールを読み返す。
<初めてSION見たよ。昔、女に振られた後お前の家でSIONのノスタルジア聴いたの思い出すな>
“俺たちの愛はスポーツ新聞の片隅にさえ載りゃしない ひねって棄てるゴミ箱のなかで幾万もの悲劇も紙屑になる ノスタルジア 遠ざかる人よ ノスタルジア 愛されているかい そして見知らぬ男のことを愛し始めたりしてるかい”ノスタルジア/SION
メールはこんな言葉で締めくくられてた。
<レッスンに遅刻したバイトを叱ったら辞められて、暫くは1人で休みなしだぜ>
コート1面でバイト1人だけ雇ってやり繰りしてるんだもんな、あいつ。
OK!俺等もたまには自分を褒めてやろうぜ!
さっ、SIONを観終ったらフェデラーvsナダルだ。
サッカー?う~ん、新聞で結果だけ見ればいいや。
2005.6.4
Mukodaicho
坂東 海
Scene 67
[たまには自分を褒めてやろう]
(ちゃんと録画予約したっけ…)
Barのカウンターで呑みながらちょっと心配になる。
とは言え今更どうしようもない。
23:38、携帯が震えメール着信。
<三崎名物『まぐろかつ』で一杯の最中。店のTVでSION×福山雅治のトーク番組やってるよ>
正しく俺が録画出来てるか心配してる番組を奴は今遠く??横須賀で観てる様だ。
SIONと福山雅治のトークシーンは今俺が呑んでる店の1本向こうの通りで朝方に撮ったらしい。
いつもの様に明け方迄呑んで店出た所に、SIONと福山雅治が路地裏で喋ってたら驚くよなあ。
「やっぱ家帰ってちゃんと観れば良かったなあ…」と呟いたら隣の客が「サッカー?」と返して来る。
今夜はW杯最終予選[日本vsバーレーン]。
店の中が「サッカー?」という問いに応えて盛り上がり出す。
「それならフェデラーvsナダルだよ」と言おうとして、サッカーどころかフェデラーvsナダルも録画予約していない事に気付く。
慌てて「締めて!」と言うと、マスターは「サッカーならラジオで聞けるよ」
「うん、又ね!」と答えになってない返事をして、靖国通りでなく職安通りに向ってタクシーを拾う。
職安通りからだと流しのタクシーを拾いやすく、おまけに中野坂上迄マニアックな抜け道で行けるのがいい。
期待通り25時過ぎに家に着き、酔っ払った頭で思案。
フェデラーvsナダルも観たいが、サッカーも確かに観たい→どっちかを録画だ→どっちだ………。
やっぱ観たいフェデラーvsナダルをLiveで観てサッカーは録画と決め、TVに近付くと某BSで録った観てない映画のテープの山。
そうなんだよな、Liveで観ないと結局観ないんだよな。
うん?その某BSを解約してなければフェデラーvsナダルは20時頃から観れてて…いやっそうするとSIONとかぶって…。
あーっ、もういいや!フェデラーvsナダル予約!とセッティング。
チャンネルをサッカーに合わせてアップしている中田の姿に目を奪われて………。
そして今29時、正しく言えば6/4(土)朝5時。
俺はサッカーの結果もフェデラーvsナダルの結果も知らない。
そう、寝ちまったんだ…。
仕方ないからビールの栓を抜いてまずSIONを観る。
おおっ、本当だ、陽の射すゴールデン街でSIONと福山雅治が話してる。
新宿区役所の方から入って来て花園一番街の角だな。
そして場面が変って、近々発売の2人の名義でのシングル「たまには自分を褒めてやろう」を唄い出す。
“お前もよくやってると たまにゃ自分をちゃんと褒めてやろう くさらず頑張ってると たまにゃ自分をちゃんと褒めてやろう”たまには自分を褒めてやろう/SIONと福山雅治
CMになったが飛ばすのがかったるく、その間横須賀からのあいつのメールを読み返す。
<初めてSION見たよ。昔、女に振られた後お前の家でSIONのノスタルジア聴いたの思い出すな>
“俺たちの愛はスポーツ新聞の片隅にさえ載りゃしない ひねって棄てるゴミ箱のなかで幾万もの悲劇も紙屑になる ノスタルジア 遠ざかる人よ ノスタルジア 愛されているかい そして見知らぬ男のことを愛し始めたりしてるかい”ノスタルジア/SION
メールはこんな言葉で締めくくられてた。
<レッスンに遅刻したバイトを叱ったら辞められて、暫くは1人で休みなしだぜ>
コート1面でバイト1人だけ雇ってやり繰りしてるんだもんな、あいつ。
OK!俺等もたまには自分を褒めてやろうぜ!
さっ、SIONを観終ったらフェデラーvsナダルだ。
サッカー?う~ん、新聞で結果だけ見ればいいや。
2005.6.4
Mukodaicho
2005年03月17日
Scene 55 [少々インチキでかまわないから]
[Another Side of Tennis]
坂東 海
Scene 55
[少々インチキでかまわないから]
公務員の彼女は、俺よりきっちり休める、帰れるで「一緒に遊べない」と文句を言う。
「仕方ないだろ、仕事なんだから。お前等と違って、年末年始だってろくに休めない会社も増えてるんだし…」俺がそう応えると電話は切れ、二度とつながる事はなかった。
“仕方ない”
世間と自分の中の気持ちの折り合いをつける為に、何度この言葉を受け入れて、何度この言葉で相手をやり過ごしたのだろう。
それで俺はどこに辿り着いたんだ?
女が出来たのをごまかしてるのならまだしも、会社じゃ偉そうにしてるだけでうだつの上がらない俺が、熱っぽく語る事もしないで、さも仕事してる様な顔で“仕方ない”って言っても彼女が納得するはずもない。
そんな年末年始からあっと言う間に3月。
1人で恵比寿の新しいLive Houseに行き、
“あわてんなよ 雨があがったからって いきなり晴れるわけもないさ 俺はまだ やっと今 始まったばかりだろ 早くはない 遅くはない 始めたら始まりさ 何度でも 何度目でも 始めたら始まりさ”(通報されるくらいに/SION)
と唄いながら目に涙をためるシオンを見た。
お嬢様のくせに俺の影響でシオンの歌が好きになり、一緒に行った野音で「シオン!」と声をあげていた彼女を思い出す。
お嬢様の彼女と俺の接点はテニス。
金持ち世界から見れば、どうしようもない世界の俺が試合で勝ち進んだ事で知り合って、今から9年位前の携帯もそう普及してなかった頃だから、家に電話すると彼女の親には苦虫をつぶした様な応対をされたもんだ。
“始めたら始まりさ”か…シオン良かったな。
社会人になってからの俺は、終る事ばかり考えて始める事は考えてなかったかもしれない。
明日は、カッコ悪い役回りは承知で仕事してみるか。
会社の帰りには一杯呑んで気をデカクして、彼女にも電話してみよう。
もともと気の利いたな事は話せないんだ。
“仕方ない”なんて言葉を吐く俺でなければいい。
照れて「少々インチキでかまわないから、あんた最後まで信じさせてよ」なんてシオンの真似でもしてくれりゃいいけど。
“ちょっと前ならひっくり返ったニュースも 今じゃ日替わりでそしてすぐに人ごとに 怪物は 街中に すぐ隣に そして俺の中にもいる 楽しい話まで触りすぎるから ほんとのことまで紙切れに見えて 嘘つきは 街中に すぐ隣に そして俺の中にもいる 少々インチキでかまわないから 誰か最後まで信じさせてくれ”(少々インチキでかまわないから/SION)
2005.3.11
Ebisu
坂東 海
Scene 55
[少々インチキでかまわないから]
公務員の彼女は、俺よりきっちり休める、帰れるで「一緒に遊べない」と文句を言う。
「仕方ないだろ、仕事なんだから。お前等と違って、年末年始だってろくに休めない会社も増えてるんだし…」俺がそう応えると電話は切れ、二度とつながる事はなかった。
“仕方ない”
世間と自分の中の気持ちの折り合いをつける為に、何度この言葉を受け入れて、何度この言葉で相手をやり過ごしたのだろう。
それで俺はどこに辿り着いたんだ?
女が出来たのをごまかしてるのならまだしも、会社じゃ偉そうにしてるだけでうだつの上がらない俺が、熱っぽく語る事もしないで、さも仕事してる様な顔で“仕方ない”って言っても彼女が納得するはずもない。
そんな年末年始からあっと言う間に3月。
1人で恵比寿の新しいLive Houseに行き、
“あわてんなよ 雨があがったからって いきなり晴れるわけもないさ 俺はまだ やっと今 始まったばかりだろ 早くはない 遅くはない 始めたら始まりさ 何度でも 何度目でも 始めたら始まりさ”(通報されるくらいに/SION)
と唄いながら目に涙をためるシオンを見た。
お嬢様のくせに俺の影響でシオンの歌が好きになり、一緒に行った野音で「シオン!」と声をあげていた彼女を思い出す。
お嬢様の彼女と俺の接点はテニス。
金持ち世界から見れば、どうしようもない世界の俺が試合で勝ち進んだ事で知り合って、今から9年位前の携帯もそう普及してなかった頃だから、家に電話すると彼女の親には苦虫をつぶした様な応対をされたもんだ。
“始めたら始まりさ”か…シオン良かったな。
社会人になってからの俺は、終る事ばかり考えて始める事は考えてなかったかもしれない。
明日は、カッコ悪い役回りは承知で仕事してみるか。
会社の帰りには一杯呑んで気をデカクして、彼女にも電話してみよう。
もともと気の利いたな事は話せないんだ。
“仕方ない”なんて言葉を吐く俺でなければいい。
照れて「少々インチキでかまわないから、あんた最後まで信じさせてよ」なんてシオンの真似でもしてくれりゃいいけど。
“ちょっと前ならひっくり返ったニュースも 今じゃ日替わりでそしてすぐに人ごとに 怪物は 街中に すぐ隣に そして俺の中にもいる 楽しい話まで触りすぎるから ほんとのことまで紙切れに見えて 嘘つきは 街中に すぐ隣に そして俺の中にもいる 少々インチキでかまわないから 誰か最後まで信じさせてくれ”(少々インチキでかまわないから/SION)
2005.3.11
Ebisu
2004年12月09日
Scene 41 [LIFE AS A LIVE]
[Another Side of Tennis]
坂東 海
Scene 41
[LIFE AS A LIVE]
いつだっただろうか。
ある女性テニスコーチが有望な若手男子選手とアメリカをツアーした話を聞いた。
日本ではまだ知られていない選手だったが、彼女はダイアモンドの原石の様な才能に惚れ込み、彼と渡米。
結果は彼が蒸発してThe End。
アメリカの関係者の反応は、「彼にはツアーを回る才能がなかったんだね」
テニスの才能がある奴は掃いて捨てる程いる。
それを転戦しながら発揮出来るのがプロ。
ミュージシャンもメジャーリーガーも、あの広大なアメリカ大陸をツアー出来なければ、サクセスストーリーの序章さえ始まらない。
Sex & Drugs & R&RのイメージでブレイクしたGUNS N' ROSESもブレイク後は毎晩のパーティー三昧の暮らしを改めたと言う(本当かどうかは怪しいが)。
好きなだけで、なりたいだけでプロにはなれないし、食って行けない。
俺達は本当に夢に向かって全力で闘っているんだろうか?
好きな事だから全力で取り組めて、ハードルが上がって行く事を楽しるはずなのに、(まあいいや、今度にしよう)と明日に先送りしていないだろうか?
そんな明日は永遠に来ない。
“将来の為に生きてる訳じゃない。俺達は今日を毎日生きている”Joe Strummer
“お前の代わりはそれこそ捨てるほど溢れてる、だけどお前にお前の代わりは一つもない”この夜に噛みついて/SION
女性コーチはその後も、日本から世界のトップ選手を出そうと精力的に活動し続けている。
町のテニスコートからグランドスラム会場と彼女が強い意志を持って動いている様子を見聞きすると頭が下がる。
俺は貴女を尊敬する。
貴女が日本テニス界にいて良かった。
2004.11.24
Kasuya
坂東 海
Scene 41
[LIFE AS A LIVE]
いつだっただろうか。
ある女性テニスコーチが有望な若手男子選手とアメリカをツアーした話を聞いた。
日本ではまだ知られていない選手だったが、彼女はダイアモンドの原石の様な才能に惚れ込み、彼と渡米。
結果は彼が蒸発してThe End。
アメリカの関係者の反応は、「彼にはツアーを回る才能がなかったんだね」
テニスの才能がある奴は掃いて捨てる程いる。
それを転戦しながら発揮出来るのがプロ。
ミュージシャンもメジャーリーガーも、あの広大なアメリカ大陸をツアー出来なければ、サクセスストーリーの序章さえ始まらない。
Sex & Drugs & R&RのイメージでブレイクしたGUNS N' ROSESもブレイク後は毎晩のパーティー三昧の暮らしを改めたと言う(本当かどうかは怪しいが)。
好きなだけで、なりたいだけでプロにはなれないし、食って行けない。
俺達は本当に夢に向かって全力で闘っているんだろうか?
好きな事だから全力で取り組めて、ハードルが上がって行く事を楽しるはずなのに、(まあいいや、今度にしよう)と明日に先送りしていないだろうか?
そんな明日は永遠に来ない。
“将来の為に生きてる訳じゃない。俺達は今日を毎日生きている”Joe Strummer
“お前の代わりはそれこそ捨てるほど溢れてる、だけどお前にお前の代わりは一つもない”この夜に噛みついて/SION
女性コーチはその後も、日本から世界のトップ選手を出そうと精力的に活動し続けている。
町のテニスコートからグランドスラム会場と彼女が強い意志を持って動いている様子を見聞きすると頭が下がる。
俺は貴女を尊敬する。
貴女が日本テニス界にいて良かった。
2004.11.24
Kasuya
2004年12月02日
Scene 40 [ジャケ買い]
[Another Side of Tennis]
坂東 海
Scene 40
[ジャケ買い]
パーティーシャッフルにしたiTunesが、オーケストラの弦に合わせて歌うしゃがれ声をチョイスした。
勿論自分が好きでiTunesに入れてある曲。
けだるく何もない昼下がり。
最後のビールを呑み干して、聴くでもなく聴かないでもなくボーッとしていたら、3番辺りでふと言葉が耳に飛び込んで来て一気に心まで達した。
“病室の窓の向こう 冬の匂いするバス停で 若い二人が 寄り添ってる
眠ってるお前の 顔を見てるだけで 涙がこぼれそうだ これじゃ逆だな 全部謝りたくなる これじゃダメだな 早く家に帰ろうな お前が好き”お前が好き/SION
何でかわからないまま独り嗚咽してる自分に驚く。
感性が理性に勝った瞬間とでも言うのだろうか。
そんな時の自分は信用出来る。
CDを買う時に、ジャケットで買った事がある人の感性は素敵だと思う。
「ジャケ買いしたら大当たり!」
「ジャケ買いしたら外しちゃってさあ!」
そんな会話は楽しい。
平台に積んである”売れ筋”CDのみを買って行く人はどうも虚しい。
TOM WAITSの[Blue Valentine]は見た瞬間にジャケ買いしてた。
その時はLPで、当然ジャケットもデカク、光沢もあったのだが、カバー写真だけでなくそれらの要素も全てカッコ良かった。
今CDのジャケットになっているのを見たらどう感じるのか?
テニスプレーヤーだとこの手の事はどうなんだろうか?
ウェアは流石に流行がありながらも、自分の趣味が出るはず。
ではラケットは?
店の奴の言いなりでなく、自分が打った感触で選ぶのが一番なのは間違いない。
見た目の好みで選んでも、強そうなラケットは硬く、可愛いラケットは柔らかいんじゃないかな?
そんな選び方はどうかな?
でもCDのジャケ買いとは値段が違い過ぎるか。
今夜ちょっとした祝い事があってレストランに行ったら、ボジョレー解禁日。
普段はそんな流行り物は無視するんだが、解禁日に惹かれて頼んでみた。
もともと「ワインはあーだのこーだの」言わないんで、美味くも不味くも感じなかった。
やっぱ大好きな、安いスパークリングワインにしとけば良かった…。
2004.11.18
Tanashicho
坂東 海
Scene 40
[ジャケ買い]
パーティーシャッフルにしたiTunesが、オーケストラの弦に合わせて歌うしゃがれ声をチョイスした。
勿論自分が好きでiTunesに入れてある曲。
けだるく何もない昼下がり。
最後のビールを呑み干して、聴くでもなく聴かないでもなくボーッとしていたら、3番辺りでふと言葉が耳に飛び込んで来て一気に心まで達した。
“病室の窓の向こう 冬の匂いするバス停で 若い二人が 寄り添ってる
眠ってるお前の 顔を見てるだけで 涙がこぼれそうだ これじゃ逆だな 全部謝りたくなる これじゃダメだな 早く家に帰ろうな お前が好き”お前が好き/SION
何でかわからないまま独り嗚咽してる自分に驚く。
感性が理性に勝った瞬間とでも言うのだろうか。
そんな時の自分は信用出来る。
CDを買う時に、ジャケットで買った事がある人の感性は素敵だと思う。
「ジャケ買いしたら大当たり!」
「ジャケ買いしたら外しちゃってさあ!」
そんな会話は楽しい。
平台に積んである”売れ筋”CDのみを買って行く人はどうも虚しい。
TOM WAITSの[Blue Valentine]は見た瞬間にジャケ買いしてた。
その時はLPで、当然ジャケットもデカク、光沢もあったのだが、カバー写真だけでなくそれらの要素も全てカッコ良かった。
今CDのジャケットになっているのを見たらどう感じるのか?
テニスプレーヤーだとこの手の事はどうなんだろうか?
ウェアは流石に流行がありながらも、自分の趣味が出るはず。
ではラケットは?
店の奴の言いなりでなく、自分が打った感触で選ぶのが一番なのは間違いない。
見た目の好みで選んでも、強そうなラケットは硬く、可愛いラケットは柔らかいんじゃないかな?
そんな選び方はどうかな?
でもCDのジャケ買いとは値段が違い過ぎるか。
今夜ちょっとした祝い事があってレストランに行ったら、ボジョレー解禁日。
普段はそんな流行り物は無視するんだが、解禁日に惹かれて頼んでみた。
もともと「ワインはあーだのこーだの」言わないんで、美味くも不味くも感じなかった。
やっぱ大好きな、安いスパークリングワインにしとけば良かった…。
2004.11.18
Tanashicho
2004年06月17日
Scene 16 [がんばれがんばれ]
[Another Side of Tennis]
坂東 海
Scene 16
[がんばれがんばれ]
看護士である家人が、ある時こんな事をポツリと言った。
「患者さんの家族が”頑張って”って声をかけるんだけど、充分頑張っているのがわかるから、見ていて辛くなるんだよね…」
“頑張って”
無邪気な子供には似合うけど、大人が何かに立ち向かっている時には気軽にかけれる言葉ではないと感じる。
杉山愛選手は“頑張って”が似合うプレイヤーだ。
彼女は無責任な“頑張って”に笑顔で手を振る。
勿論“頑張って”に悪意はないし、彼女は自分のファン、観客に対してプロとして心から感謝しているんだろう。
クリスターズとのペア解消以来、彼女には“ツキがない”と感じてしまう事が続いている。
ブエノスアイレスで行われたフェドカップでの事は観戦してもいないのに、テニス誌の記事を読んだだけで涙が滲んだ。
彼女はコートに入れば、激戦の女子テニス界で心情としてだけでなく、常に100%のテニスを強いられている。
もう少しで到達しそうな何かをいつも求めてはあがき、それを得ては又何かを求め、自分を高め続けると言う、凡人には想像出来ない崇高な世界だ。
我々には彼女を含め、プロ選手へのリスペクトが足りないのではないか?
もう少しでウィンブルドンが始まる。
杉山選手の心からの笑顔が見たい。
赤土をきれいに落として、真っ白いウェアで緑の芝生に立ってほしい。
彼女達がプレイヤーとして輝いている時は短い。
はかなさと表裏一体の輝き…。
それが少しでも長く続く事を願う。
名前の通り愛らしい彼女に、こんな曲があるのを教えてあげたい。
「いつでもここにいるから 帰って来ていいんだよ そう思えばあとひとつふたつ 出来る我慢もふえるでしょ がんばれがんばれ」がんばれ がんばれ/シオン
2004.6.12
Tetsugakudo
坂東 海
Scene 16
[がんばれがんばれ]
看護士である家人が、ある時こんな事をポツリと言った。
「患者さんの家族が”頑張って”って声をかけるんだけど、充分頑張っているのがわかるから、見ていて辛くなるんだよね…」
“頑張って”
無邪気な子供には似合うけど、大人が何かに立ち向かっている時には気軽にかけれる言葉ではないと感じる。
杉山愛選手は“頑張って”が似合うプレイヤーだ。
彼女は無責任な“頑張って”に笑顔で手を振る。
勿論“頑張って”に悪意はないし、彼女は自分のファン、観客に対してプロとして心から感謝しているんだろう。
クリスターズとのペア解消以来、彼女には“ツキがない”と感じてしまう事が続いている。
ブエノスアイレスで行われたフェドカップでの事は観戦してもいないのに、テニス誌の記事を読んだだけで涙が滲んだ。
彼女はコートに入れば、激戦の女子テニス界で心情としてだけでなく、常に100%のテニスを強いられている。
もう少しで到達しそうな何かをいつも求めてはあがき、それを得ては又何かを求め、自分を高め続けると言う、凡人には想像出来ない崇高な世界だ。
我々には彼女を含め、プロ選手へのリスペクトが足りないのではないか?
もう少しでウィンブルドンが始まる。
杉山選手の心からの笑顔が見たい。
赤土をきれいに落として、真っ白いウェアで緑の芝生に立ってほしい。
彼女達がプレイヤーとして輝いている時は短い。
はかなさと表裏一体の輝き…。
それが少しでも長く続く事を願う。
名前の通り愛らしい彼女に、こんな曲があるのを教えてあげたい。
「いつでもここにいるから 帰って来ていいんだよ そう思えばあとひとつふたつ 出来る我慢もふえるでしょ がんばれがんばれ」がんばれ がんばれ/シオン
2004.6.12
Tetsugakudo
2004年06月10日
Scene 15 [NO SECURITY]
[Another Side of Tennis]
坂東 海
Scene 15
[NO SECURITY]
23時15分にレッスンを終え、後片付けをして皆で「お疲れ」と別れる。
車に乗り込みイグニッションをまわし走り出す。
自衛隊基地、大きな公園の間の道を走り抜ける。
昼は緑が眩しい通りもこの時間じゃ鬱蒼としていてちょっと不気味だ。
今頃もう家族は寝てるかなあ、街は酔っぱらいだらけだろうなあ、そんな事を考
えていたら、いきなり目の前の横断歩道を数人の若い女の子が自転車で横切り、
公園の中へ消えて行った。
国道から住宅街への近道しているんだろうけど危ねえなあ…おまけにスカートは短いし…。
少し行くと携帯で楽しそうに話している女の子とすれ違う。
携帯で話そうがメールをしてようが、この暗闇の中で独りには変らないんだが…。
駅へと続く市道に入ると急にネオンが増える。
コンビニ、スタンド、レンタルビデオ…金を落としてくれと24時間輝いている。
すると塾帰りとおぼしき小学生が漫画を読みながら駅の方から歩いて来る。
全く何だかなあ…。
遅くまで仕事してるなんて感じてる自分を笑いたくなる。
そしてこの世の中を笑いたくなる。
自転車の女の子達、携帯の女の子、塾帰りの小学生。
お前等はどうやって自分を守るんだい?戦うんだい?
法律も今のお前等は守れない。
犯られたり、さらわれた後、オマワリが来て調べ上げ、誰かを捕まえ、罰するだろう。
でも、事実は消せないし、時間は戻らない。
ふと気付くと後でバイクが俺を煽ってる。
こんなファミリーカーだから仕方ないか、と頭では思いつつ、体は車を止めバイクの方に歩み寄っていた。
親のすねかじりのくせにゲットー気取った半端な野郎だったけど、面倒な事になっちゃったなあと思ってたら、急に奴は「すいません、悪気はなかったんです」と言い、走り去ってしまった。
拍子抜けしながらも安心して、又車を走らせ家についた。
2歳の長女がまだ寝付けずにいて「パパお帰り」と抱きついて来る。
さっきのバイク君と喧嘩になってたら…。
俺は独りじゃないんだ…。
家族の無邪気な愛情に俺は見合っているのか…。
全てを笑い飛ばせる、せめて家族だけは守れる強い奴になりたい…。
「願わくば 愚痴ることもなく 妬むこともなく 黙々と 願わくば ちゃかすこともなく 逃げることもなく 暮らしたい」強くなりてぇ/シオン
2004.6.2
Nerima
坂東 海
Scene 15
[NO SECURITY]
23時15分にレッスンを終え、後片付けをして皆で「お疲れ」と別れる。
車に乗り込みイグニッションをまわし走り出す。
自衛隊基地、大きな公園の間の道を走り抜ける。
昼は緑が眩しい通りもこの時間じゃ鬱蒼としていてちょっと不気味だ。
今頃もう家族は寝てるかなあ、街は酔っぱらいだらけだろうなあ、そんな事を考
えていたら、いきなり目の前の横断歩道を数人の若い女の子が自転車で横切り、
公園の中へ消えて行った。
国道から住宅街への近道しているんだろうけど危ねえなあ…おまけにスカートは短いし…。
少し行くと携帯で楽しそうに話している女の子とすれ違う。
携帯で話そうがメールをしてようが、この暗闇の中で独りには変らないんだが…。
駅へと続く市道に入ると急にネオンが増える。
コンビニ、スタンド、レンタルビデオ…金を落としてくれと24時間輝いている。
すると塾帰りとおぼしき小学生が漫画を読みながら駅の方から歩いて来る。
全く何だかなあ…。
遅くまで仕事してるなんて感じてる自分を笑いたくなる。
そしてこの世の中を笑いたくなる。
自転車の女の子達、携帯の女の子、塾帰りの小学生。
お前等はどうやって自分を守るんだい?戦うんだい?
法律も今のお前等は守れない。
犯られたり、さらわれた後、オマワリが来て調べ上げ、誰かを捕まえ、罰するだろう。
でも、事実は消せないし、時間は戻らない。
ふと気付くと後でバイクが俺を煽ってる。
こんなファミリーカーだから仕方ないか、と頭では思いつつ、体は車を止めバイクの方に歩み寄っていた。
親のすねかじりのくせにゲットー気取った半端な野郎だったけど、面倒な事になっちゃったなあと思ってたら、急に奴は「すいません、悪気はなかったんです」と言い、走り去ってしまった。
拍子抜けしながらも安心して、又車を走らせ家についた。
2歳の長女がまだ寝付けずにいて「パパお帰り」と抱きついて来る。
さっきのバイク君と喧嘩になってたら…。
俺は独りじゃないんだ…。
家族の無邪気な愛情に俺は見合っているのか…。
全てを笑い飛ばせる、せめて家族だけは守れる強い奴になりたい…。
「願わくば 愚痴ることもなく 妬むこともなく 黙々と 願わくば ちゃかすこともなく 逃げることもなく 暮らしたい」強くなりてぇ/シオン
2004.6.2
Nerima