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[Another Side of Tennis] 木曜更新 毎週木曜日発行 無料テニスメルマガ[REC TENNIS EXPRESS]連載 テニスエッセイ

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http://www.rec-tennis.com/mailmagazine.htm
投稿者 坂東海 13:10 | コメント(0) | トラックバック(0)

Scene 124 [夏の終わり]

[Another Side of Tennis]
坂東海

Scene 124
[夏の終わり]

「うわっ!焼けてるねえ」
会う人会う人に言われる。
毎週毎週レッスンで会うお客さんにも、「本当に黒いねえ…」
「いやっ!本当は白いんですよ!美白なんです!」
時計を外して見せると、「本当だあ~。白い」
「子供の頃はコパトーンのモデルでお尻出してましたからね!」
こんな感じだ。

毎年紫外線が強くなって来る春先は、誰よりも早く短パンになる。
皆が黒くなってから、陽に焼けてない足を出すのはカッコ悪い。
って言うか、テニス選手は試合中とか暖まったら、短パンになるのが普通だ。
真冬の部活じゃあ、身体から湯気を立てながら短パンでプレーしたもんだ。
だから春先で暖かくなって来た時、逆に秋口で少し冷え込んで来た時に、ウォームアップパンツを穿いてレッスンしているコーチを見るとがっかりする。
「オマエハタマダシマシーンカ?」

で、その日焼けが仇になるのが、皮肉な事に真夏の海。
顔と二の腕の途中から指先迄、膝上から踝迄は真っ黒で、他は真っ白の逆パンダ…。
これはカッコ悪い。
おまけに最近はスリークォーターパンツを穿く事が多いから、逆パンダ現象は更に酷くなっている。

そんな事を気にし始めた6月終わりに、ヘッドコーチからこんな一言。
「秋になると休めないから、夏の間に休み取れば?ウチは又宮古島行くよ。お前も宮古行ったら?7月の頭で独りなら今からでもエ大丈夫じゃない?いい所教えてやるぜ」
勿論即答で「焼きます!焼きます!じゃなくて、行きます!行きます!」

そんな訳で、目指せ逆パンダ解消で慌しく初の宮古へ。
空港へ着いてまずは、ヘッドコーチに教えてもらった個人レンタカー屋さんにコール。

古いスプリンターを借りて、これ又教えてもらったチャーハンが税込300円で大盛りの[博龍菜館]に行って昼飯と、貧乏旅には無難なスタート。
満腹になった所で新城海岸に行って、男独りで隠れクマノミとご対面。
海に潜ってこの目で直に見ると、予想外に感動…ふん!恥ずかしくなんかないやい!

スコールに追われる様に、素泊まりの宿にチェックインして、缶ビールを開けてTVをつけたら「台風3号は明日宮古島に最接近。明後日迄停滞」……知らなかったあ…。

翌日は開き直って颱風が来る前の島をドライブしたけど、途中でワイパーも利かない降りになり、土産にモンテドールの新作ケーキ[ゴーヤ畑]を買っただけで帰宿。
でも颱風は1日で通り過ぎて、又しても新城海岸、そして夜は平良の居酒屋[中山海岸通店]に行って、颱風の影響で刺身は限られていたけど独りカウンターでエンジョイ。

そんなこんなでピーカンの最終日は、レンタカー屋のおじさんが教えてくれた[悠楽]の一口カツ定食で感動してから、ミーハーに砂山海岸へ。
独りでもおかしくない程度のひと気で、颱風の影響でろくに陽射しを浴びてない、まだ逆パンダ状態の身体を安心してさらして焼いた。
でも普段から焼けてない部分は、やっぱり赤くなるだけなんだよなあ…痛い…。

ヒリヒリするのを我慢しながら飛行機に乗り込んで、羽田からいつもの店に直行。
(そう言えば羽田への飛行機では、斜め後ろの席に山崎まさよし。後で調べたら、彼は七夕の夜の川満漁港でのイベントに、シークレットゲストで出たらしい)

「やっぱ空いてる海はいいねえ」
「でもさあ、もう夏休みが終っちゃったって事でしょ?」
「なんでそうやって現実を突き付けるの…」

“訳もなく夏の終わりが寂しいのは子供だけじゃないんだぜ”夏の終わり/SION

2006.7.10
Hirara
SION | 投稿者 坂東海 00:01 | コメント(0) | トラックバック(0)

Scene 106 [18 years after]

[Another Side of Tennis]
坂東海

Scene 106
[18 years after]

「18年振りに日本に帰って来たんだけど、テニス事情悪いねえ」
カウンターに座るなり奴は話し出す。
奴は単身NYへ渡り、コーチをしながらサテライトを回っていた。
たまに帰って来たりはしてたものの、今回家族と共に生活のベースを東京に戻す事になった。

「引越した家の側のテニスクラブに家族で会員になろうとして行ったら『12才以下はお断り』って言われてさ、仕方なく子供の頃入っていたテニスクラブに行ったら『すいません。今は12才以下の方はスクールしかありません』だってさ。要するに親子でもプレー出来ないんだよ。ガキがコートにいるとチョロチョロして邪魔だって事なんだろうけどさ。こういう時アメリカなら金さえ出せばどうにかなるけど、それもダメなんだもんなあ。考えてみれば俺達のガキの頃のテニス環境って良かったんだな」

と言う訳で奴の家族は今テニス難民。
スクールの事なら多少わかるが、クラブの事はノーケアだったので俺も驚く。
固定資産税、相続税絡みで閉鎖~マンションのお決まりパターンでなくなったクラブを幾つも見て来たから、何とも言いがたいが。

俺はフォアローゼスのジンジャエール割り、奴はさつま白波のお湯割りを呑みながら徐々にほぐれて行き、見知らぬ常連さん達と他愛もない話で盛り上がり出す。
「マルタイラーメン食べたことある?九州でメジャーなラーメン。俺今日初めて食べたんだけどあれ美味いよねえ」
「揖保の糸みたいなやつですよね?僕九州だったから良く食べてましたよ」
「俺も福岡にいた時金がなくて毎日喰ってたよ。スーパーだと二食入りで100円位だもんね」
「俺今日3種類買って来てさ、醤油とんこつ食べた。帰ったら屋台九州味食べようっと」
「バカ違うんだよ。一番ノーマルの黄色い袋のマルタイラーメンって書いてあるのに、紅生姜たっぷり入れて喰うのがいいんだよ。もう丼一面真っ赤になる位にさ」
「牛丼屋で赤丼って知ってる?」
「えーっ知らない」
「ごはんだけ頼んでやっぱり紅生姜たっぷりで赤丼」
「成程ねえ…」
「そうそういつだったかこっち帰って来てて、白金の美術館に行った時甲斐よしひろと会ったよ」
「ま~じ~」
「でかいリモが停まってて誰かと思ったら甲斐だった。周りにいた人とか一緒にいた子なんか『甲斐だ!甲斐だ!』って走って行ってたよ。タッキーニのマッケンローモデルの赤じゃなくて青着ててさ、カッコ良かったよ」

そして今ガラガラの青梅街道を何故か新宿方面に向ってタクシーで帰宅中。
チクショウ!あいつが喋るだけ喋った挙句『眠い』って言うから、終電で帰ったらこの様だ。
腹減ったなあ…コンビニで紅生姜買って、ノーマル・マルタイラーメン・紅生姜版喰って寝るか。

2006.3.6
Hanazono3bangai
KAI | 投稿者 坂東海 00:01 | コメント(0) | トラックバック(0)

Scene 104 [NO DIRECTION HOME]

[Another Side of Tennis]
坂東海

Scene 104
[NO DIRECTION HOME]

一時期より足繁く通わなくなったとは言え、本屋とCD屋には良く寄っているつもりだった。

先日何気なくネットを覗いてたら、ダブルプレー/ロバート・B・パーカー。
(ワオッ!スペンサーシリーズの新刊か?!うん?“スペンサー・シリーズの著者が放つ、メジャーリーグ・サスペンス!”おおっ!こいつはスゲエや!えっ?!2005年2月出版??)
何と1年前に出版されていた…。

更に検索して行くと、冷たい銃声/ロバート・B・パーカーとスペンサー・シリーズの新刊が去年の12月に出てた。
慌ててネット上で買う事はせず、本屋へ急いでロバート・B・パーカーのコーナーへ。
(2冊共あった!初版かな…)と本の最後を確認する。
俺は好きな作家の新刊は初版狙い。
幸い2冊共に初版。
ここと吉祥寺南口前の本屋は、他のデカイ本屋で初版が売り切れてても初版が残っている事が多いんだ。

そんな事があって数週間後本屋に入って文庫コーナーをぶらついていたら、メランコリー・ベイビー/ロバート・B・パーカー。
サニー・ランドル・シリーズの新刊!
慌てて手に取り、又本の最後を見る。
2005年11月15日発行の初版。
(何でここまで気付かないかなあ…)と自分が疎くなった気がして来るが、(平積みされる本やCDと俺の感性が合ってた事は殆どないから仕方ない)と気を取り直す。

冷静に考えるとロバート・B・パーカーは、以前はスペンサー・シリーズが年1冊出るだけだったのに、サニー・ランドル・シリーズ、ジェッシイ・ストーン・シリーズと増え、この一年は3冊の新刊を出してる訳だ。
作家という他人が仕事を理解し辛い仕事だが、70才を越したロバート・B・パーカーが質を保つどころか更に高めつつ、創作数を増やして行く姿勢には感服するしかない。

そう言えばもうじき来る60才超のストーンズも、数日前コパで120万人だか200万人のライヴやってたなあ。
数週間前にぶっ飛んでたライヴをかましてた甲斐も50才超。
こうなると今年はディランも観たいなあ。
とりあえず好評で公開延長になった[ノー・ディレクション・ホーム]を観に行かないと。

[テニス]で登録したGoogleアラートが、女子テニス最新世界ランキングを伝えて来る。
杉山愛:26位、浅越しのぶ:56位、森上亜希子:57位、中村藍子:64位、小畑沙織:100位。
その次の記事は杉山選手のドバイでの初戦敗退。

字面や数字の表面的な事だけでなく、彼女達の躍動、落胆が見える気がするが、やはりその努力の量、自分を律する力は俺なんかには想像もつかないんだろうと考える。
全豪での怪我をマイアミで癒し、更にパワーアップしているであろう森上選手に、もし言葉をかけれるなら一言「大変でしたね」、いやっ陳腐に「頑張って下さい」としか言えない気がする。

今も世界のどこかでストイックに自分と向き合っているスペシャリスト達に乾杯!
そして誰が見ていようがいまいが、毎日人生って奴と向き合ってる人達にも乾杯!

2006.2.21
Shibakubochou
KAI | 投稿者 坂東海 00:01 | コメント(0) | トラックバック(0)

Scene 102 [No.1のバラード]

[Another Side of Tennis]
坂東海

Scene 102
[No.1のバラード]

2月の1週目の金土日。
3日連続で昼は東京体育館、夜はSHIBUYA O-EASTと通い詰めた。
東京体育館は勿論、[東レPPOテニス]、SHIBUYA O-EASTは甲斐よしひろ[ROLLING CIRCUS REVUE]3days。
えっ?!「仕事しろ!」!?うるせえなあ…This is my Business!

2/3(金)
第1試合でシャラポア、第2試合でヒンギスが共にあっさり勝ち、2/4(土)の準決勝で当たる事が決まった。
他の試合も少し観た後渋谷に向い、道玄坂を登り百軒店からO-EASTへ。

程なくして聴く者を高揚させる様な性急にさせる様なドラムからLiveが始まった。
“この世にお前と 比較できる女は いないと思ってる俺 お前もおもってくれるかい”
カッコイイ…。
終演後、渋谷の賑やかさには混じりたくなく、ホテル街を東急本店側に降り原宿方面に向かい携帯でCall。
「すげえ良かったぜ!ポケ瓶1本軽く空いたよ!」
そのままゴールデン街で盛り上がるものの、後残り2日間を考え地味に終電で帰宅。

2/4(土)
注目のシャラポアvsヒンギス
トーナメント開始前に唯一全席Sold outになっていたこの日。
ラッキーな観衆からはヒンギス復活を望む雰囲気が漂っている。
両選手の入場から緊張感が走る。
ヒンギスは、予測、ポジショニングは勿論、体幹の使い方、二の腕のパワーが以前より格段に良くなっているのが、シャラポアと対戦した事で良くわかる。
コトンと落ちたネットイン同様、シャラポアヒンギスの手中に落ちた。

前日のオープニングに引っかけて、キラー・ストリート(甲斐バンドの1984年のナンバー)を渋谷に向う。
ライヴは又しても素晴らしかった。
この日しか来れないダチは「絶対今日が一番いい!」と自分を納得させていた。
ライヴ中にクラブ内のバーでしこたま呑み、珍しく直帰。

2/5(日)
東レPPO決勝はマスコミの扱い同様、シャラポアvsヒンギスがピークだった様で、ヒンギスデメンティエワに完敗して閉幕。
でも会場内では既に来年のアリーナ特別席の予約が始まっていて、来年もテニス界が盛り上がる気がして嬉しい。
No.1になる、No.1でいる、No.1に戻る、いずれもタフな事だよなあ…と会場を後にする。

まだ明るい円山町を冷やかしで流した後、O-EAST入り。
最終日特有の盛り上がりの中の5曲目、甲斐が唄い出したのは[No.1のバラード]。
“君は手をだせば何でも手に入ったし 大声だして指させば まわりが動いてくれた やる事なす事うまくいって 悦に入ってたよね 両手が見栄と胡坐でいっぱいだった”
最後は“こちとらはとてもうるさいのに どう思う 今の自分を カードでもやってみるかい 明日の運試しにでもさ”と唄い、更に“ははっ”と嘲り笑う、デビューアルバムに入っていたこのアイロニーたっぷりのナンバーが、30年以上走り続けて来たシンガーが今唄うことでポジティブに響く。
過去なんてクソだよな!でも今の俺は一体何者なんだい…。

ゴールデン街で終電迄のつもりが、腰を浮かせた瞬間に入って来たダチと盛り上がり、今西武新宿側で揚げ焼き餃子でビール。
さてそろそろ始発で帰るかな。

2006.2.6
Seibu-Shinjuku
KAI | 投稿者 坂東海 00:01 | コメント(0) | トラックバック(0)

Scene 100 [ディープ・パープル]

[Another Side of Tennis]
坂東海

Scene 100
[ディープ・パープル]

“それは誰のせいでもなくてあなたが男で きっと誰のせいでもなくて わたしが女で”

分厚い雲を切り裂く様にいきなり射し込みながらも、分厚い雲を振り払う事は諦めた光の様に響くヴォーカル。
甲斐よしひろが唄う1976年の五十嵐浩晃のカヴァー。

“どうしてむくわれないものが好きつく傷はいつもひと色 そしてこんな旅を 明日から何をたよりに生きるのか そんな事今は はるかに 海のそばがいいの”

曲のタイトルは“ディープ・パープル”。
ふと、「リッチー、お前はもう、パープルのメンバーがやりたいと思う事を一緒にやる事が出来なくなったって訳さ。とすりゃ、後はどうするか、言わなくたってわかるだろうよ」という中学校の頃に読んだディープ・パープルの本の中の、リッチー・ブラックモアが方向性がずれてしまったメンバーに言って来た言葉を自分に向けたシーンを思い出す。

駄洒落でもなんでもない。
“ディープ・パープル”という唄が、ある別離のシーンに俺を引っ張って行った。
別離…好き嫌いなら嫌われていてもどうにかなるが、信じる信じないで信じてもらえない、まして相手を信じられないのなら別れるしかない。

ガキの頃からどこにいても違和感を感じていた。
それはテメエが好き勝手に出来る環境でもそうで、いやむしろ周りが俺に好意的であればある程そうだった。
それはガキの甘えだったのかとも今感じるが。

独りで生きてるつもりの今でも、「お前にあそこは似合わない」「一緒にやろう」と、いろんな奴が声をかけて来る。
そうだな…アンタ等と徒党を組む気はさらさらないが、言ってる意味はわかるよ。
いつの間にか俺も取り込まれちまっているんだよな。
そうそう、「お前は俺を裏切った」と言って来た奴もいたな。
いずれにせよThanks…。

人ってのはどこか優柔不断で、節目節目にかこつけてキッカケってやつを求めている。
バーの片隅や、明け方のタクシーの中、そして有明のプレス席で書いて来たこのエッセイとやらも100本目。
いい節目だ。

曲はガキの頃しか聴かなかったのに、事ある毎に俺の頭の中をかすめて来た言葉が何故又今俺を捉えているのか、良く考えてみるか。
いずれにせよ、一眠りしよう。
こんな酔い方をしてる朝はろくな事がない。

2006.1.22
Gotenyama
KAI | 投稿者 坂東海 00:01 | コメント(0) | トラックバック(0)

Scene 98 [カセットテープ]

[Another Side of Tennis]
坂東海

Scene 98
[カセットテープ]

正月開けの3連休。
「3連休全部出勤の終電帰り!何が3連休だ!Fuckin’3連休!」
と電話越しでぼやく中高のテニス部の後輩。
どうせそんなに行く必要もないのに奴の責任感から行ってるんだろうと、中日の夜に電話してゴールデン街に避難させる。
案の定待ち合わせ時間にきっちり合わせて来やがった。

「これさあお年始」
とディランのCDをマスターに渡す。
マスターが前の店にいる時に、120分テープで作った俺のディランベストの受けが良くて、今度はCDでという事になったがCDの80分でディランのベストは…。
結局[BOB DYLAZN’S GREATEST HITS]のVol.13にプラス俺チョイスの4枚と“量”で勝負。
マスターと俺はお互いディランが好きで、東京フォーラムでの観客を前に走らせた[HIGHWAY61]のパフォーマンスの話をするといつでも熱くなるんだ。

今夜後輩と会いそうな気配がした時、ふと(あの店にピッタリの甲斐ベストっていいな)とiTunesでプレイリストを作ってみた。
奴とは高校の時から一緒に武道館に甲斐バンドを観に行ってた間柄。

ディランのベストを渡した後、
「この店にぴったりの甲斐のベスト作ったよ」
と渡したら、マスターが
「これかける前に俺からもお前に聴かせたいのがあるんだよね」

ドッタタ ドッタタとあのイントロ。
「わおっ![HERO]じゃん!何々?!これ?!」
「通りがかった時目についてさ」

某月某夜
「今度甲斐のCD持って来なよ。かけるよ」
とマスター。
「うん。でもさあ全部好きだからCD一枚に納めるの無理なんだよね」

7曲入りのカセットテープのケースを渡された。
A面:裏切りの街角、漂泊者(アウトロー)、ビューティフル・エネルギー、破れたハートを売り物に、B面:HERO(ヒーロになる時、それは今)、感触(タッチ)、安奈のEMIから出てるオフィシャル版。
マスターはサプライズを狙ってB面の[HERO]からかけてくれたって訳だ。
今時カセットって言うのが想いが伝わって来て、何か暖かいよね。

終電で早々に帰るつもりが帰巣本能はどこかに行っちまい、割用のジンジャエールも無くなり炭酸に切替えボトルを追加。
後輩は「ミーハーと言われそうだけど好き」と言う[ビューティフル・エネルギー]が流れて来て嬉しそう。
「甲斐のカセットって持ってないからこれ俺が買い取るよ」
「何かカセット買っちゃうんだよね。いいよ、あげるよ」
結局夜と朝の境目に後輩と2人でタクシーに乗り込んだ。

明けて今、吉祥寺いせや。
いい夜だったなあ。
幸せだぜ。
あいつは今頃デスクで仕事かな。

そう言えば俺等って一応何か打合せするんであの店行ったんじゃなかったっけ?

2006.1.9
Kichijoji
KAI | 投稿者 坂東海 00:01 | コメント(0) | トラックバック(0)

Scene 88 [20th Anniversary]

[Another Side of Tennis]
坂東海

Scene 88
[20th Anniversary]

「この人にも30代だった時がありました!ギター、松田文!」
Sold Outの新宿ロフト。
シオンがデビュー前にロフトで初ワンマンして20周年に引っ掛けてのLive。
ロフトも丁度30周年らしい。

“ふたりでいてもふたりはふたりで 想い合って癒せない思いは 小さいときにたぶん身につけた それぞれのやり方で”夏の終わり/SION
“裏を読むなよ みんな自分が可愛い 真っ直ぐでいい このままでいい” すばらしい世界を/SION

そんな“言葉”がスッと胸を刺す。
(小さいときにたぶん身につけた それぞれのやり方で…かあ。裏を読むなよ…)
皆で香港料理屋に入って、飛び切り辛いイカの炒め物を突っ突きながら思い出す。

約1週間後だったか、浅草橋で野暮用があり新宿から総武線に乗る。
問屋街でも覗こうと早く出て、電車の中でウトウト。
ふと気が付くと窓の外はデカイ川…隅田川!
一つ乗り過ごしちまったって訳だ。
(まあいいや)と両国散策に切り替える。

国技館を見て、(そうか…)とiPodをスクロール。
2曲目が終り、激しい歓声の中MC。
「ありがとう。今夜も最後まで目一杯やります。最後まで楽しんで行ってほしい。ラヴ・マイナス・ゼロというアルバムの、多分これが最初でそして最後になるプロモーションツアーのファイナルです。ねえっ。ここが新国技館だからね、有名な。やるよ!ウェイ」

両国国技館こけら落としの1985年の甲斐バンドのLive。
こけら落としらしく、甲斐よしひろは“両国国技館”ではなく“新国技館”と言ってる。
歴代横綱の写真が見下ろす座布団の無い桝席に立って観たLiveだ。
あのLiveの後、呑み屋を探してうろついた両国の街は明かりが消えて暗い印象だったが、今じゃネオンがこうこうと光ってる。
国技館、旧安田庭園、両国公会堂と通り過ぎ、蔵前橋を中程迄渡って立ち止まる。

“よりよい世界夢見ながら眠りにつく時がある だけど沈んだままの心でいつも目をさます”荒野をくだって/Kai Band

あっ、このLiveも20年前じゃん。

短い間に20年というキーワードに2回触れて、川面を眺めながら20年って奴をちょっと振り返って見る。
でもそれは月日を感じさせず、歌い続けてる彼等同様、自分が今も生きているという事実を突きつけられる。
それが幸せであり痛くもあって、(俺は一体何をしてるんだ…)と思わず悪寒に身体を震わせてしまう。

1985年、全豪が最後のXmas開催だった年。
グランドスラムの優勝者は全仏:ビランデル、エバート、全英:ベッカー、ナブラチロワ、全米:レンドル、マンドリコワ、全豪:エドバーグ、ナブラチロワと正しく群雄割拠。
テニスに関しては年月の流れを感じる。

“色あせても笑う ヒーロー達の写真は 栄光と挫折を一度にさらしてしまう”
“俺は王様だと思ってた 俺の声で誰でも踊ると思ってた だがしかし俺の声は ピンボールさ ただ跳ねてるだけ”俺の声/SION

2005.10.25
Kuramaebashi
SION | 投稿者 坂東海 00:01 | コメント(0) | トラックバック(0)

Scene 87 [感触(タッチ)]

[Another Side of Tennis]
坂東海

Scene 87
[感触(タッチ)]

離婚の原因は男側、女側共に<性格の不一致・価値観の相違>がNo.1らしい。
「結婚する前にその位わからないのか」って皆言うが、時間の経過ってやつは恐ろしいからな。

天使の様だった女が、一緒に暮らして行くうちに猫撫で声が低い声に変り、生活感たっぷりに偉そうになる。
要するに女らしく可愛いいままにさせてやれなかった男に甲斐性がなかったって事だ。
旦那の定年後、ガキも大きくなっての女からの別れ話、これも男の甲斐性絡みだな。
女も悪いんだろうけど、男が被害者意識に陥るのは何時でもどこでもカッコ悪いから知らん。
まあ男には若い姉ちゃんに浮気して…ってありがちなTVパターンがお似合いだ。

“男は獣のように妖しく 女は悪魔のように可愛い”
“男は獣のようにわがままで 女は悪魔のようにこわがりさ”

俺は差別論者でも何でもないが、男と女は当たり前の様に違うし、役割分担も違うって考える。
男女雇用機会均等法も(何だかなあ)って感じだったが、本当に男でないと女でないと出来ない仕事は、太陽の下でもネオンの下でもそう変っていない。

プロテニス界では、“ウーマンリヴ”なんて言葉が流行ってた頃から、度々男女の賞金格差に対して女子テニス界から抗議が出ていて、1973年にUSオープンが格差撤廃(USオープンに初めて賞金が懸けられたのは1968年だから、USオープンはその歴史の殆どが格差無)。
全豪は1984年からランダムながら撤廃。
そしてフレンチも2006年に撤廃するから、残るはウィンブルドンのみ。
ウィンブルドン側は以前「是正する理由はない」としてたが今後どうなんだろう。

賞金格差がある理由として良く上げられていたのは、男子が5セットマッチなのに対して女子が3セットマッチである点、男子の方がパワーとスピードがある点。
今はテニス云々でなく、スポンサーの判断=どっちが、あるいはどっちも金を出す価値があるか=PR効果はどうか?に尽きる。
シャラポアジャパンツアー”なんて、大阪城ホール、名古屋レインボーホールと来て、有明がもし武道館だったら外タレロッカー並(じゃなくて正しく外タレ!)だが、スポンサーがもっともらしく「男子より女子の優雅さの方がテニスらしい」と言って、女子の賞金を高くする時も来るかもしれない。

で、話は又してもATPの男子ダブルスのルール変更。
ルールを変更した目的は、表向きは有力選手のダブルスへのエントリー促進、大会の円滑な進行だが、賞金のカットという噂もある。
という事は、男子ダブルスは5ゲーム先取だから、通常の3セットマッチの女子ダブルスの方が賞金が高いって理屈になるのか?
全く時代は回る…いや違った、ずっと金を出す奴の都合なんだった。
とは言え金を出す奴等は、大衆にテニスの持つポジティブでピュアなイメージを自分達に重ねて欲しいのは確か。
“金を出す方が偉い”だの“金=汚い”と言った単純な図式じゃあない。
一応五分と五分の関係という事にしておこうや。

“Touch 夜にまぎれて太陽のある場所へ走り続けよう Touch 早くしないと俺たちの愛なんて燃えかすになっちまう”感触(タッチ)/甲斐バンド

テニスも俺達の愛もまだ燃えかすには早いだろ?
まして湿気っちまったHang Fireは勘弁してくれ。

2005.10.23
Yokoami
KAI | 投稿者 坂東海 00:01 | コメント(0) | トラックバック(0)

Scene 85 [No Advantage]

[Another Side of Tennis]
坂東海

Scene 85
[No Advantage]

随分前だが、何の金だったかお袋に10万手渡しして数日経った時、その金が「見当たらない」って事になり家中を探す破目になった。
結局見つからずさぞ落ち込んでいると思いきや、その晩「お寿司食べ行こう」。
「こんな時はもっと使っちゃった方がいいのよ」
親父に随分苦労させられたお袋のタフさなんだろう。

<財布知らない?>
今回はお袋でなく、女からのメール。
Callして聞けば、現金8万とカードが3枚入っていた財布をなくしたらしい。

「そんな果した金気にすんなよ」と言いかかったが、俺の態度には似合っても現実では到底そうじゃないから「ワオッ!Big Money!」とおどけて見せる。
でも電話の向こうは浮かない感じ。
(そりゃあそうだよなあ、何とか盛り上げてやるか)
電話を切ってしばし考えを巡らせた後、番号をPush。

「あのさあ明日のJapan Openの決勝のチケット2枚手に入らない?一番高い席」
電話の相手が毎年ロイヤルボックスシートゴールドを買っているのは知っている。
渋る相手を煽てて脅して口説く。
結局、「確かに仕事で何時に着くかわからないんだけどさあ」と元々弱気になっていた相手と、定価の1枚1万7千円で2枚の3万4千円と、今度の呑み代+タクシー代で手を打った。

翌朝、バイク便で送らせたチケットとパーキングパスを持って湾岸に乗る。
車をコロシアムに横付けして、決勝らしいざわめきのロビーに入る。
VIPルームでハイネケンを流し込んでから席に向うと、いきなり目に飛び込んで来たのはゴロビンのローライズ。
でも「半ケツを下す!」なんてジョークを飛ばしてるうちに彼女はリタイア。
次の男子決勝は、アンチッチのリターンに感心して、そのアンチッチのマッチポイントで見せたムーディーのフォアのストレートのパスに思わず声を上げる。

そして鈴木貴男・岩渕聡のダブルス。
1stに続いて2ndも4-4でタイブレーク。
サドンデスが要所要所で彼等に有利に働いたのと、スリリングな展開にATP新ルールへの文句は出て来ない。
マッチポイントとセットポイントの行き来の末の14-13。
岩渕のサーブ、1stボレー、そして…。
ロイヤルの連中も皆立ち上がってのスタンディングオベーション。
俺はちょっとだけ泣いていた気がする。

上機嫌でゴールデン街に車を飛ばし、俺はフォアローゼスのジンジャエール割り、帰りの運転がある奴は讃岐うどんの妙な組合せで盛り上がる。
「貴男と岩渕の優勝しびれたなあ」
「賞金総額$860,000と男子シングルスの賞金$118,000っていくらになるんだ?」
「大体110円だから、9千500万と1千300万?」
「スゲエなあ。俺その端数の300万でいいや!」
「私8万でもいいなあ」
……。
「あのさあ…、そう言えば大リーグどうなった?」
「えっ?!あっ、ああ…」
(あといくら使えばいいんだ…)

ちなみにお袋の金は、回収に出そうとした古新聞に挟まっているのが見つかった。
さて今回は…。

2005.10.9
Golden-gai
エッセイ | 投稿者 坂東海 00:01 | コメント(0) | トラックバック(0)