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Scene 78 [通り過ぎる夏]

[Another Side of Tennis]
坂東 海

Scene 78
[通り過ぎる夏]

自転車に乗る事が最近楽しくて仕方ない長男が、「吉祥寺まで自転車で行こうよ!」と言って来た。
外は炎天下。
でも家人と下の娘は車で買い物に行ってるから、車で行く訳にもいかない。
バスで行ってもいいけど、バス停まで結構あるし、そもそもバスに乗るのは大嫌いだ。
毎日レッスンで身体を動かしているから、休みの日に運動っぽい事をするのも余りないことだし。
ちょっと考えた挙句、(小学校の初めての夏休みに何かを成し遂げたって感じさせるのも必要だな)ともっともらしい理由で自分を納得させ、「OK!行こうぜ!」と返事。

(どの道がいいかなあ…)と車の通りが少ない道を考え、まずは自宅側の多摩湖への遊歩道に入り、東へ向かう。
木陰の多い涼しい道だが、やっぱり暑い。
途中、凍らせたアルカリイオン水を飲ませながら進む。

遊歩道が終った所は五日市街道と井の頭通りのT字交差点。
(あっ、何だよ、家から吉祥寺までって1回も曲がらないでいいんじゃん!)と井の頭通りに入る。
車でばかり動いてたから、こんな当たり前の事も忘れてた。
良く考えたら渋谷までも一本道って事だ。
井の頭通りは元々は村山貯水池の水を都内に運ぶ為の水道管路で、今は幹線となってるこの交差点より向こうも、昔は遊歩道みたいに盛り土してあったらしい。
俺もそうだが、この辺りの人達は今でも井の頭通りの事を水道道路と呼ぶ。

井の頭通りに入ってすぐ、大きな浄水場がありそっち側の高い歩道を選び、又進む。
当たり前だが、本当に一本道。
ひたすらペダルを漕ぐ。
いくらガキでも自転車同士で横に並んでは走れない。
ちょっと振り返って、「大丈夫か?」と聞くと「大丈夫!」と元気な返事。
でも言葉数は少ないけどいい感じだ。

三鷹を越すとあと少し。
途中、以前ダチが働いていたテニススクールがあって、久々に様子を伺いたくなるが足を止めたくなくて進む。
そして吉祥寺着。
車で来る時によく停めるガード下の駐車場の前を通り過ぎて、親子二人迷わず[いせや]本店横に自転車を付けて階段を上がる。

いつも通り「瓶ビール1本とコロッケ、もも焼き塩」とオーダー。
「家から真っ直ぐだっただろ?」
返事もそぞろにガキはもも焼きにかぶりついてる。
「頑張ったなあ!」と悪さの代償として取り上げてた奴の大好きなガラクタを取り出すと、驚いた表情になり、笑いを噛み殺してやがる。

ここんところずっと気に入ってる歌が無性に聴きたくなった。
来年俺は厄年だけど、それがどうしたって言うんだ。
まだまだ人生楽しめそうだぜ。

“俺は知らねえ 何も聞いてねえ 夏の記憶も 風に揺れる葉っぱ ぼんやりばっかしてる程 まだ涙は枯れてねえぞ 温泉行きてえなあ 海水浴に行きてえなあ 来年40 ”通り過ぎる夏/O.P.KING

2005.8.14
Sekimae
エッセイ | 投稿者 坂東海 00:01 | コメント(0)| トラックバック(0)

Scene 77 [異端児]

[Another Side of Tennis]
坂東 海

Scene 77
[異端児]

ヘルシンキでの世界陸上女子マラソンはラドクリフの優勝。
彼女の走り方は目が離せなくていい。
初めて観たのがアテネでの途中棄権だったからか、いつ止まってしまうのかというスリリングさでついつい応援してしまう。

でも彼女はれっきとした世界記録保持者。
2002年4月に世界記録2時間18分47秒にあと9秒のマラソンデビュー。
そして同じ年の10月に、2時間17分18秒の世界新記録樹立。
翌2003年4月には2時間15分25秒と、又自分の世界記録を塗り替えた。
今考えれば、アテネは確かに苦しかったのだろうけど、優勝しても同じ走り方だったんだよな。

マラソン選手の走るスピードはTV観戦じゃなかなか実感出来ない。
俺はガキの頃、当時の彼女と神宮外苑をブラブラする事が多かったんだが、あそこは全盛期の瀬古選手の練習場所で、俺等が手をつないで歩いてる脇を彼が何回も走り抜けて行ったのを覚えている。
速かったよ、とにかく。
あれで42.195km走るんだもんな。
話しは脱線するが、その頃始発かなんかで青山にチケットを買いに行った時に、ビクタースタジオの裏手辺りだったかなあ、あの辺で、下宿から外苑に練習に向うんであろう彼を見かけて、違う世界の人と感じたっけ。

さてラドクリフだ。
彼女の走りは、デビュー前はやはり“専門家”に「あのフォームじゃ…」と酷評された。
自分が通って来た固定観念、既成概念だけで、偉そうにしたり顔で物を言う奴はどの世界にもいるって事だ。
テニス界で今のトッププレーヤーのプレースタイル、フォームを10年前に予測、あるいは予感していた者はどれ位いるのだろう。
昔は軟式テニス出身者は例外なくグリップを薄く持ち替えさせられたが、Tennis Kidsがパワーとコントロールを追い詰めて行った結果、今じゃグリップは小学生でも硬式テニスの方がはるかに厚い。
極論、予測や予感は出来なくても、子供達の本能的な動き、斬新な発想を妨げない柔らかい頭がまず大事なんじゃないかね。

そう言えば、ロディックのシンプルなサーブのテイクバックは昔なら殆ど見なかった形だが、1970年代後半のビッグサーバー、ロスコ・タナーと似ている。
タナーは全豪優勝、全英準優勝の戦績を持ちながら、当時はまともに評価されてなかった気がする。
あの時代に220kmってのが速過ぎたのかなあ。
それにウッドラケットで、しかも天然芝の全英決勝でフルセットで勝っちゃうボルグも凄いんだが。

ところでラドクリフの走り方は“トカゲ型”と言うらしい。
これは、“フォームは左右対象が良い”と考えているタイプには、“競走馬が前脚と後脚がぶつからない様に、軸と進行方向が一致しないで斜めに走っている事実、高橋尚子選手も同様って事から考えてみなよ”って感じの理論だが、難しいねえ。

世の中には役割分担があるって事だな。
さて俺の役目は…とりあえず呑みに行くか…。

2005.8.15
Tamacho
エッセイ | 投稿者 坂東海 00:01 | コメント(0)| トラックバック(0)

Scene 76 [呉越同舟]

[Another Side of Tennis]
坂東 海

Scene 76
[呉越同舟]

携帯が世の中に出回り始めた頃、着信音を鳴らしたり人目もはばからず話す若い奴等に、「全くあんなもん」とまだ携帯に手を出してないおっさん、おばさんは訝しがってた。

それが今じゃ電車内で着メロが鳴ったり、デカイ声がするとたいていおっさん、おばさんが携帯に向かって喋ってる。
「取引先からの電話だから」「待ち合わせの電話だから」仕方ない、ちょっとだけならいいだろと、公共性のかけらもない美意識ゼロの感性で、得意の論旨の摩り替えをしてるんだろう。
まあ、あの失笑を誘う一人よがりの着メロを聞けば(いや、聞かせるだな)、奴等の日々のセンスの悪い暮らし振りが良くわかる。

最近茶髪が減って来てる。
女子高生のルーズソックス、短いスカートと比べると短い流行だった気がする。
そりゃあそうだろう、老若男女って感じで茶髪にしてりゃあ、感性のいい奴は嫌になる。

とは言え、車内で携帯、極端な茶髪のガキも相変わらずいる。
そういう目立つだけでリスペクトされない奴等と、着メロおっさん、おばさんの感性がイコールなのは笑える。
違うのはガキ共が環境、教育で変わる可能性があるのに、おっさん、おばさんにはその可能性がない事だ。

茶髪に関しては去年こんな事を聞いた。
「某国営放送はカラーナンバー6迄認めてる」
「某テニススクールでは7迄で、フロントスタッフは黒髪だと暗く、不潔に見えるから、染める様に指示してる」
どうせ、最初は煙たく思ってたくせに、余りに対象が多くなったんで対処し切れなくなっただけだろうよ。

自分の中に掟がない奴は、どこにいようが、いつになっても漂うだけだ。
とりあえず溺れる前に舟に引き上げてもらえよ。
でもあんたが乗る舟はいずれにしろ泥舟だ。

2005.8.7
ZONE
エッセイ | 投稿者 坂東海 00:01 | コメント(0)| トラックバック(0)