2006年01月26日
Scene 100 [ディープ・パープル]
[Another Side of Tennis]
坂東海
Scene 100
[ディープ・パープル]
“それは誰のせいでもなくてあなたが男で きっと誰のせいでもなくて わたしが女で”
分厚い雲を切り裂く様にいきなり射し込みながらも、分厚い雲を振り払う事は諦めた光の様に響くヴォーカル。
甲斐よしひろが唄う1976年の五十嵐浩晃のカヴァー。
“どうしてむくわれないものが好きつく傷はいつもひと色 そしてこんな旅を 明日から何をたよりに生きるのか そんな事今は はるかに 海のそばがいいの”
曲のタイトルは“ディープ・パープル”。
ふと、「リッチー、お前はもう、パープルのメンバーがやりたいと思う事を一緒にやる事が出来なくなったって訳さ。とすりゃ、後はどうするか、言わなくたってわかるだろうよ」という中学校の頃に読んだディープ・パープルの本の中の、リッチー・ブラックモアが方向性がずれてしまったメンバーに言って来た言葉を自分に向けたシーンを思い出す。
駄洒落でもなんでもない。
“ディープ・パープル”という唄が、ある別離のシーンに俺を引っ張って行った。
別離…好き嫌いなら嫌われていてもどうにかなるが、信じる信じないで信じてもらえない、まして相手を信じられないのなら別れるしかない。
ガキの頃からどこにいても違和感を感じていた。
それはテメエが好き勝手に出来る環境でもそうで、いやむしろ周りが俺に好意的であればある程そうだった。
それはガキの甘えだったのかとも今感じるが。
独りで生きてるつもりの今でも、「お前にあそこは似合わない」「一緒にやろう」と、いろんな奴が声をかけて来る。
そうだな…アンタ等と徒党を組む気はさらさらないが、言ってる意味はわかるよ。
いつの間にか俺も取り込まれちまっているんだよな。
そうそう、「お前は俺を裏切った」と言って来た奴もいたな。
いずれにせよThanks…。
人ってのはどこか優柔不断で、節目節目にかこつけてキッカケってやつを求めている。
バーの片隅や、明け方のタクシーの中、そして有明のプレス席で書いて来たこのエッセイとやらも100本目。
いい節目だ。
曲はガキの頃しか聴かなかったのに、事ある毎に俺の頭の中をかすめて来た言葉が何故又今俺を捉えているのか、良く考えてみるか。
いずれにせよ、一眠りしよう。
こんな酔い方をしてる朝はろくな事がない。
2006.1.22
Gotenyama
坂東海
Scene 100
[ディープ・パープル]
“それは誰のせいでもなくてあなたが男で きっと誰のせいでもなくて わたしが女で”
分厚い雲を切り裂く様にいきなり射し込みながらも、分厚い雲を振り払う事は諦めた光の様に響くヴォーカル。
甲斐よしひろが唄う1976年の五十嵐浩晃のカヴァー。
“どうしてむくわれないものが好きつく傷はいつもひと色 そしてこんな旅を 明日から何をたよりに生きるのか そんな事今は はるかに 海のそばがいいの”
曲のタイトルは“ディープ・パープル”。
ふと、「リッチー、お前はもう、パープルのメンバーがやりたいと思う事を一緒にやる事が出来なくなったって訳さ。とすりゃ、後はどうするか、言わなくたってわかるだろうよ」という中学校の頃に読んだディープ・パープルの本の中の、リッチー・ブラックモアが方向性がずれてしまったメンバーに言って来た言葉を自分に向けたシーンを思い出す。
駄洒落でもなんでもない。
“ディープ・パープル”という唄が、ある別離のシーンに俺を引っ張って行った。
別離…好き嫌いなら嫌われていてもどうにかなるが、信じる信じないで信じてもらえない、まして相手を信じられないのなら別れるしかない。
ガキの頃からどこにいても違和感を感じていた。
それはテメエが好き勝手に出来る環境でもそうで、いやむしろ周りが俺に好意的であればある程そうだった。
それはガキの甘えだったのかとも今感じるが。
独りで生きてるつもりの今でも、「お前にあそこは似合わない」「一緒にやろう」と、いろんな奴が声をかけて来る。
そうだな…アンタ等と徒党を組む気はさらさらないが、言ってる意味はわかるよ。
いつの間にか俺も取り込まれちまっているんだよな。
そうそう、「お前は俺を裏切った」と言って来た奴もいたな。
いずれにせよThanks…。
人ってのはどこか優柔不断で、節目節目にかこつけてキッカケってやつを求めている。
バーの片隅や、明け方のタクシーの中、そして有明のプレス席で書いて来たこのエッセイとやらも100本目。
いい節目だ。
曲はガキの頃しか聴かなかったのに、事ある毎に俺の頭の中をかすめて来た言葉が何故又今俺を捉えているのか、良く考えてみるか。
いずれにせよ、一眠りしよう。
こんな酔い方をしてる朝はろくな事がない。
2006.1.22
Gotenyama
2006年01月12日
Scene 98 [カセットテープ]
[Another Side of Tennis]
坂東海
Scene 98
[カセットテープ]
正月開けの3連休。
「3連休全部出勤の終電帰り!何が3連休だ!Fuckin’3連休!」
と電話越しでぼやく中高のテニス部の後輩。
どうせそんなに行く必要もないのに奴の責任感から行ってるんだろうと、中日の夜に電話してゴールデン街に避難させる。
案の定待ち合わせ時間にきっちり合わせて来やがった。
「これさあお年始」
とディランのCDをマスターに渡す。
マスターが前の店にいる時に、120分テープで作った俺のディランベストの受けが良くて、今度はCDでという事になったがCDの80分でディランのベストは…。
結局[BOB DYLAZN’S GREATEST HITS]のVol.13にプラス俺チョイスの4枚と“量”で勝負。
マスターと俺はお互いディランが好きで、東京フォーラムでの観客を前に走らせた[HIGHWAY61]のパフォーマンスの話をするといつでも熱くなるんだ。
今夜後輩と会いそうな気配がした時、ふと(あの店にピッタリの甲斐ベストっていいな)とiTunesでプレイリストを作ってみた。
奴とは高校の時から一緒に武道館に甲斐バンドを観に行ってた間柄。
ディランのベストを渡した後、
「この店にぴったりの甲斐のベスト作ったよ」
と渡したら、マスターが
「これかける前に俺からもお前に聴かせたいのがあるんだよね」
ドッタタ ドッタタとあのイントロ。
「わおっ![HERO]じゃん!何々?!これ?!」
「通りがかった時目についてさ」
某月某夜
「今度甲斐のCD持って来なよ。かけるよ」
とマスター。
「うん。でもさあ全部好きだからCD一枚に納めるの無理なんだよね」
7曲入りのカセットテープのケースを渡された。
A面:裏切りの街角、漂泊者(アウトロー)、ビューティフル・エネルギー、破れたハートを売り物に、B面:HERO(ヒーロになる時、それは今)、感触(タッチ)、安奈のEMIから出てるオフィシャル版。
マスターはサプライズを狙ってB面の[HERO]からかけてくれたって訳だ。
今時カセットって言うのが想いが伝わって来て、何か暖かいよね。
終電で早々に帰るつもりが帰巣本能はどこかに行っちまい、割用のジンジャエールも無くなり炭酸に切替えボトルを追加。
後輩は「ミーハーと言われそうだけど好き」と言う[ビューティフル・エネルギー]が流れて来て嬉しそう。
「甲斐のカセットって持ってないからこれ俺が買い取るよ」
「何かカセット買っちゃうんだよね。いいよ、あげるよ」
結局夜と朝の境目に後輩と2人でタクシーに乗り込んだ。
明けて今、吉祥寺いせや。
いい夜だったなあ。
幸せだぜ。
あいつは今頃デスクで仕事かな。
そう言えば俺等って一応何か打合せするんであの店行ったんじゃなかったっけ?
2006.1.9
Kichijoji
坂東海
Scene 98
[カセットテープ]
正月開けの3連休。
「3連休全部出勤の終電帰り!何が3連休だ!Fuckin’3連休!」
と電話越しでぼやく中高のテニス部の後輩。
どうせそんなに行く必要もないのに奴の責任感から行ってるんだろうと、中日の夜に電話してゴールデン街に避難させる。
案の定待ち合わせ時間にきっちり合わせて来やがった。
「これさあお年始」
とディランのCDをマスターに渡す。
マスターが前の店にいる時に、120分テープで作った俺のディランベストの受けが良くて、今度はCDでという事になったがCDの80分でディランのベストは…。
結局[BOB DYLAZN’S GREATEST HITS]のVol.13にプラス俺チョイスの4枚と“量”で勝負。
マスターと俺はお互いディランが好きで、東京フォーラムでの観客を前に走らせた[HIGHWAY61]のパフォーマンスの話をするといつでも熱くなるんだ。
今夜後輩と会いそうな気配がした時、ふと(あの店にピッタリの甲斐ベストっていいな)とiTunesでプレイリストを作ってみた。
奴とは高校の時から一緒に武道館に甲斐バンドを観に行ってた間柄。
ディランのベストを渡した後、
「この店にぴったりの甲斐のベスト作ったよ」
と渡したら、マスターが
「これかける前に俺からもお前に聴かせたいのがあるんだよね」
ドッタタ ドッタタとあのイントロ。
「わおっ![HERO]じゃん!何々?!これ?!」
「通りがかった時目についてさ」
某月某夜
「今度甲斐のCD持って来なよ。かけるよ」
とマスター。
「うん。でもさあ全部好きだからCD一枚に納めるの無理なんだよね」
7曲入りのカセットテープのケースを渡された。
A面:裏切りの街角、漂泊者(アウトロー)、ビューティフル・エネルギー、破れたハートを売り物に、B面:HERO(ヒーロになる時、それは今)、感触(タッチ)、安奈のEMIから出てるオフィシャル版。
マスターはサプライズを狙ってB面の[HERO]からかけてくれたって訳だ。
今時カセットって言うのが想いが伝わって来て、何か暖かいよね。
終電で早々に帰るつもりが帰巣本能はどこかに行っちまい、割用のジンジャエールも無くなり炭酸に切替えボトルを追加。
後輩は「ミーハーと言われそうだけど好き」と言う[ビューティフル・エネルギー]が流れて来て嬉しそう。
「甲斐のカセットって持ってないからこれ俺が買い取るよ」
「何かカセット買っちゃうんだよね。いいよ、あげるよ」
結局夜と朝の境目に後輩と2人でタクシーに乗り込んだ。
明けて今、吉祥寺いせや。
いい夜だったなあ。
幸せだぜ。
あいつは今頃デスクで仕事かな。
そう言えば俺等って一応何か打合せするんであの店行ったんじゃなかったっけ?
2006.1.9
Kichijoji