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Scene 85 [No Advantage]

[Another Side of Tennis]
坂東海

Scene 85
[No Advantage]

随分前だが、何の金だったかお袋に10万手渡しして数日経った時、その金が「見当たらない」って事になり家中を探す破目になった。
結局見つからずさぞ落ち込んでいると思いきや、その晩「お寿司食べ行こう」。
「こんな時はもっと使っちゃった方がいいのよ」
親父に随分苦労させられたお袋のタフさなんだろう。

<財布知らない?>
今回はお袋でなく、女からのメール。
Callして聞けば、現金8万とカードが3枚入っていた財布をなくしたらしい。

「そんな果した金気にすんなよ」と言いかかったが、俺の態度には似合っても現実では到底そうじゃないから「ワオッ!Big Money!」とおどけて見せる。
でも電話の向こうは浮かない感じ。
(そりゃあそうだよなあ、何とか盛り上げてやるか)
電話を切ってしばし考えを巡らせた後、番号をPush。

「あのさあ明日のJapan Openの決勝のチケット2枚手に入らない?一番高い席」
電話の相手が毎年ロイヤルボックスシートゴールドを買っているのは知っている。
渋る相手を煽てて脅して口説く。
結局、「確かに仕事で何時に着くかわからないんだけどさあ」と元々弱気になっていた相手と、定価の1枚1万7千円で2枚の3万4千円と、今度の呑み代+タクシー代で手を打った。

翌朝、バイク便で送らせたチケットとパーキングパスを持って湾岸に乗る。
車をコロシアムに横付けして、決勝らしいざわめきのロビーに入る。
VIPルームでハイネケンを流し込んでから席に向うと、いきなり目に飛び込んで来たのはゴロビンのローライズ。
でも「半ケツを下す!」なんてジョークを飛ばしてるうちに彼女はリタイア。
次の男子決勝は、アンチッチのリターンに感心して、そのアンチッチのマッチポイントで見せたムーディーのフォアのストレートのパスに思わず声を上げる。

そして鈴木貴男・岩渕聡のダブルス。
1stに続いて2ndも4-4でタイブレーク。
サドンデスが要所要所で彼等に有利に働いたのと、スリリングな展開にATP新ルールへの文句は出て来ない。
マッチポイントとセットポイントの行き来の末の14-13。
岩渕のサーブ、1stボレー、そして…。
ロイヤルの連中も皆立ち上がってのスタンディングオベーション。
俺はちょっとだけ泣いていた気がする。

上機嫌でゴールデン街に車を飛ばし、俺はフォアローゼスのジンジャエール割り、帰りの運転がある奴は讃岐うどんの妙な組合せで盛り上がる。
「貴男と岩渕の優勝しびれたなあ」
「賞金総額$860,000と男子シングルスの賞金$118,000っていくらになるんだ?」
「大体110円だから、9千500万と1千300万?」
「スゲエなあ。俺その端数の300万でいいや!」
「私8万でもいいなあ」
……。
「あのさあ…、そう言えば大リーグどうなった?」
「えっ?!あっ、ああ…」
(あといくら使えばいいんだ…)

ちなみにお袋の金は、回収に出そうとした古新聞に挟まっているのが見つかった。
さて今回は…。

2005.10.9
Golden-gai
エッセイ | 投稿者 坂東海 00:01 | コメント(0)| トラックバック(0)
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