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Scene 79 [egoist]

[Another Side of Tennis]
坂東 海

Scene 79
[egoist]

「えっ、でも…」
レッスン後のミーティング。
不満げに口ごもっているのは、最近採用したばかりのアルバイトコーチ。
(ろくにテニスも出来ないくせに…)とは考えず、(このままじゃどの世界に行っても、うざったがられるだけだからなあ)と、彼が頷きやすい様にさっきのレッスンの話を進め、最後は軽く説教。

「えっ、僕そんな態度に見えましたか?」
異動でいくつかのクラブを観て来たけど、どこでもいつでもこの手の奴はいる。
一番酷かったのは、人手が足りない時間に入れるから重宝されている事を自分が能力があると勘違いしてた奴。
そいつは俗に言うフリーコーチだったが、「某スクールはもっと支給品がある」みたいな話を他のコーチに話して、体制を批判する自分に酔い、皆が頷く事で自尊心を充たす哀れな奴だった。
ちょっと雨が降ると「こんなんでやるんですか…」と文句を言い、雨中止が多くて給料が少ないと「ここは給料が安い」と文句言ってたりもしてたなあ。
大体このタイプは、自分にとって都合の良い悪いが、物事の良い悪いの判断基準になっている事に気付いていない。

条件が合わないなら辞めればいいと俺は考えてる。
勿論、もっといい条件でと考えるのも、闘うのも正しい。
でも自分が、まだ相手が勝手にいい条件を出して来る様なレベルでないと考えるのがもっと正しくないか?
俺達は上手く飼いならされた犬でも、丸く太っちまった豚でもなく、プロ、専門職なんだから。
まあ手っ取り早いのは、自分が条件を出す側になる事だ。

殆どの奴がまずは量で必要とされる。
それを質に転化して行けないで、量のみで必要とされたまま、勤務日数、レッスン数だけがキャリアになってる被害者意識の塊の奴等は本当に惨めだ。

俺は才能があったからやって来れたのもあるが、他人が苦しい、嫌だと思う事を何とも感じないのが今思えば武器の様な気もする。
体温並みに熱い炎天下、きつい要求…ドーパミンたっぷりにクリアして来たんだろう。
こう傲慢に言いながら、心の中でのたうちまわる夜が多いのも確かだけど。

「雨降りそうっすよ」
アルバイトが不安そうに言って来る。
居合わせたスタッフに
「レッスンが中止になるとは思うなよ。気持ちが切れるといいレッスン出来ないからな」
と声をかける。
皆頷いて又レッスンのシュミレーションを始める。
さっきは口ごたえしてたあいつも、コート図に配列を書き込んで考えてる。
何だかんだ言って皆真面目だ。
こんな俺について来てくれて感謝するよ。

「おしっ!行くぞ!次もいいレッスンしようぜ!」

2005.8.24
Yoyogi
エッセイ | 投稿者 坂東海 00:01 | コメント(0)| トラックバック(0)
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